中外製薬株式会社 知財部員インタビュー

中外製薬の特徴・強みについて

知的財産部(知財部)について伺う前に、中外製薬がどんな会社なのかを質問していきたいと思います!
早速ですが、中外製薬はどんな会社ですか?

中外製薬は創業が1925年で、もうすぐ100歳になる会社です。売上収益は1兆1,680億円で(*1)、2022年12月期の決算で初めて1兆円を超えました。売上・利益ともに6期連続で過去最高を達成し、成長し続けている企業です。

(*1:2022年度決算Coreベース)

沿革からみる中外製薬の特徴

中外製薬の特徴を知ってもらうには、会社の歴史をお話しするのが分かりやすいでしょうか。

1923年に起きた関東大震災の惨状を目の当たりしした創業者上野十藏は、深刻な医薬品不足の解決に向け、「世の中に役立つ薬をつくる」という使命感を抱き、1925年に医薬品商社「中外新薬商会」を立ち上げました。

創業当初は海外から薬を輸入する会社として始まり、戦後からの混乱期の中、事業再建に取り組み大衆薬の市場で成長しました。

2つの大きな転換期

1960年代に、より成長していくために医療用医薬品に注力する戦略にシフトするという大きな転換期を迎えています。

その後1980年代には、化学合成からバイオ医薬品による創薬に方針転換し、今日の強みの礎を築きます。

2000年代からはロシュとの戦略的アライアンスも

もうひとつの大きな変革が2002年、スイスにあるメガファーマのロシュと戦略的アライアンスを開始したことです。

このアライアンスはユニークなビジネスモデルとなっており、中外製薬はロシュ・グループの一員でありながら自主独立経営を維持し、互いの強みを活かしたWIN-WINの関係を築いています。

ロシュとの戦略的アライアンスにより、中外製薬はロシュの画期的な新薬を国内で独占的に販売することができ、この安定的な収益基盤により、革新性の高い独自技術や創薬への集中投資が可能となりました。製品ラインナップにロシュの抗がん剤を加えた中外製薬は、国内がん領域で売上トップシェア(*2)を維持しています。

(*2:Copyright © 2023 IQVIA. 出典:IQVIA医薬品市場統計 2022年12月MATをもとに作成 無断転載禁止 市場の範囲は中外製薬定義による)

戦略的アライアンスをもとに独自のサイエンス力・技術力によりイノベーションを創出し、革新的な医薬品を世界中の患者さんにいち早くお届けすることを目指しています。

中外製薬の知的財産部について

ここからは、中外製薬の知財部について詳しく伺っていきたいと思います。
貴社では日々どんな仕事をしていますか?

メインの業務は、特許を中心とした知的財産の権利化・維持と知的財産戦略の立案です。特許の権利化指針を社内で定め、明細書作成は外部の特許事務所に依頼をしています。その他、製品化を進めるうえで、他社特許調査、特許係争対応や契約関連業務なども行っています。

こう聞くとよくある知財部に思えるかもしれませんが、細かい点を見ると、中外製薬の権利化業務はとてもユニークです。

ユニークな部分、というと?

中外製薬の創薬の特徴は「技術ドリブン」です。特定の疾患をターゲットに決めて開発に取り組むアプローチとは異なり、疾患領域を限定せずに、次世代抗体や中分子のような、創薬に応用可能な新しい技術を先に開発して、その技術を医薬品に適用するという創薬のアプローチです。研究者の発想と技術力により、患者さんに新しい価値を提供できる革新的な新薬創出に挑戦しています。 独自性や価値の高い創薬研究には、技術やアイデアが欠かせません。そこを知的財産で適切に保護しながらビジネスを前に進めていくというサポートを、知財部では行っています。

それから、医療用医薬品を上市するまでには臨床試験や治験といった承認のためのプロセスがあり、販売までに時間がかかります。特許で技術を保護できる期間には限りがあるため、権利で製品をしっかり守るには、研究部門、事業部門、臨床開発部門など幅広い部署とコミュニケーションを取りながら、適切なタイミングで特許出願し権利化を進めていく、という部分が特徴的です。

具体的な知的財産戦略については、ぜひHPをご覧ください

知的財産戦略|会社情報|中外製薬

ロシュとの関係

ロシュとの戦略的アライアンスに関わる業務についても特徴的ですので、お話を伺いたいです

前述の通り、戦略的アライアンスにより、ロシュ製品を国内で販売し、また自社創製品をグローバル市場に展開する際にロシュに導出することもしています。ロシュを通じてグローバル市場に展開する際には、事業を保護するために幅広い国での特許ポートフォリオの構築が求められます。

一方でロシュの製品を日本で販売する際には、特許的な問題がないか精査します。

中外製薬の知財部で働く面白さ

ではズバリ、中外製薬の知財部で働く魅力・面白さはどこにありますか!

上市されるような製品を保護する特許ポートフォリオの構築といった、大きな仕事に関われて裁量権もあるのは、当社の知財部ならではの魅力・面白さだと思います!

教育面はどんな感じ?

ユニークな部分も多い、ということですが貴社の人財育成教育はどんな感じですか?

キャリア入社者には、OJTベースでメンターがついて指導をします。

内容は入社された方のご経験によってフレキシブルに対応しています。特に知財部はキャリア入社の方の比率が高いので、教育面は安心していただけると思います。

それからロシュ、ジェネンテック、シンガポールにある研究子会社の中外ファーマボディー・リサーチ(CPR)などへの海外派遣により、グローバルな知財経験を積む方も多いです。

大きな仕事に関われる裁量が与えられる一方、そのために必要な進め方やハードスキルなどの研修およびサポートはとても充実している会社だと思います。

働くうえで大切にしていること、ポリシー

中外製薬の社員が働くうえでのポリシー、大切にしていること等がありましたら教えてください

中外製薬では「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」の3つの価値観に基づき事業活動を展開しています。

これは、フロンティア精神を持ち、イノベーションの追求を続けながら、社会の期待や要請に応えるために常に誠実であること。それによって一人ひとりの患者さんに貢献していくことを明示しています。

私たちは、患者さんの命に直結する薬を扱っています。ですから我々の活動は本当に患者さんのためになっているのかを常に考え、行動する。これが「患者中心」という部分です。

そうした行動は、回りまわって医療関係者や患者さんからの信頼獲得に繋がり、選ばれる企業になっていくと私たちは考えています。薬は命に直結するもの、という特性もあいまって弊社では「誠実」というものを全ての行動の根幹に置いています。

また、新しいイノベーティブな発想は経営層だけが持っていればいいものではありません。一人ひとりが持っている良いアイデアを追及していこうということで、価値観のひとつに「フロンティア精神」を掲げています。

大切にしている”言葉”

私たちは「創造で、想像を超える。」をスローガンとしています。これまでの常識や枠組みにとらわれず、世の中の人々が待ち望むもの、そしてその期待を超えていくものを継続的に生み出すことにより、ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指すという中外製薬の姿勢や社員の想いを込めています。

職場の環境について

職場の雰囲気

ではここからは、知財部の職場環境について伺いたいと思います!早速ですが、職場の雰囲気はどんな感じですか?

優しくて落ち着いた人が多く、若手でも意見やアイデアが否定されることが基本的にありません。新しい挑戦をしやすく、その挑戦に対する努力やプロセスもしっかり評価してもらえます。

タフな仕事はしっかり上司や周囲がサポートしてくれて乗り越えていける、という安心を日々感じながら仕事ができています。

中外製薬には転職して入社されたと伺ったのですが、前の会社と比べて感想があれば、ぜひお聞きしたいです!

活発な意見交換が行われ、お互いの意見を尊重し組み合わせながら物事を前に進めていくディスカッションの姿勢が心地よく感じています。

大切にしていること、で挙げた「フロンティア精神」はまさにこういった部分に現れていて、いいアイデアはどんどん取り入れていくという社風があります。

働きやすさ

「働きやすさ」という面から見た貴社についても教えてください

とても働きやすい会社です!

テレワークとコアタイムなしのフレックスタイムが取り入れられており、働く場所と時間の自由度が高いです。

私自身が子育て真っ只中なので、たとえば会議のある午前中は出社して午後は子供が早く帰ってきてもいいように在宅勤務にする、といった働き方ができるのが助かっています。

会議の必要に応じて本社に行ったり、2023年4月に本格稼働した新研究所・中外ライフサイエンスパーク横浜で研究者とコミュニケーションをとったり、家で集中して仕事をしたり…。本当にいろんなところで仕事ができるのはすごく働きやすいと思っています。

また、本社はフリーアドレスで好きな席で仕事ができ、部署やグループを超えたコミュニケーションが取りやすく、つながりを広げていきやすいと感じています。

貴社の知財部の幅広い部署とコミュニケーションを取っていく、という特徴にも好影響がありそうですね!
休日や休暇、といった点についてもお話を伺えますか?

知財の仕事は自分でスケジュール調整がしやすく、長期間のお休みを取ることも可能です。

普段の仕事も、みなさん予定表を公開しているので、お互い配慮して会議を設定したりしています。

あとは男性の育児休職も積極的に取るよう推奨する風潮があります。期間は人によりますが、2022年度の育休取得率は約9割(*3)でした。

(*3:中外製薬 ダイバーシティ&インクルージョン関連データ集より)

周囲とのコミュニケーションを大事にすることによって信頼関係を構築でき、このようなフレキシビリティの高い働き方が実現されていると感じます。

求人募集の理由

今回はなぜ求人募集をされているのでしょうか?

中外製薬は成長戦略「TOP I 2030」を掲げ、ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指しています。2030年にはR&Dを倍増させ、自社グローバル品を毎年上市するという高い目標を掲げています。

そして知財部はR&Dをサポートする部署なので、出てくる製品(アウトプット)を知財でしっかり保護するための人財を増強する必要があり、求人募集を行っています。

※2023年4月に開所した中外製薬の研究所「中外ライフサイエンスパーク横浜」

求める人物像について

具体的に、どのような人物を求めていますか?

医薬品には、技術や製品が社会を必ずより良い方向に変えていくという絶対的な価値があります。

中外製薬では、知財はビジネスを支援し守るツールとして考え、出願・権利形成して終わりではなくビジネスにどう活用するかを積極的に考え、取り組もうとしています。

ですから、知財の活用に興味があり、そこにコミットしたいという方にぜひ来ていただきたいと思っています。

また組織や連携をすごく重視しているので、周りとかかわりあいながら刺激を受けて成長していきたい、という意欲のある方と一緒に働きたいと考えています。

やはり、医薬品の知識や英語のスキルは求められますか?

薬学や化学のバックグラウンドは必ずしも求められていません。私自身も材料系の出身ですが、技術と社会をつなぐセンスのほうが求められています。

英語スキルについてですが、確かにロシュとのコミュニケーションなど、英語を使う業務は生じます。しかしネイティブ並みに流暢に話せるスキルより、英語を使ってコミュニケーションをとる姿勢のほうを求めています。臆さずに英語コミュニケーションを取ろうとする方に来ていただければと思っています。

中外製薬全体として、求めている人物像などがあれば併せて教えてください

中外製薬では今、自律型人財を求めています。

今後私たちが会社として成長していくためには、自分で考えて周りを巻き込みながら行動できる人が必要だと考えています。

それから、誠実さはとても大事だと思います。「企業倫理は業績に優先する」という基本的な考えがあり、それくらい「誠実」というのは中外の根幹になる部分です。

最後にひとこと、転職者へメッセージをお願いします!

たくさんお話させていただきましたが、このインタビューを見て中外製薬に興味を持っていただいた方がいれば、ぜひご応募くださると嬉しいです!