株式会社フジクラ 知財責任者インタビュー
業績絶好調で、株価の上昇率で話題の株式会社フジクラ。同社の知的財産部 高橋部長と中途採用で昨年、知財部員となられた高橋さんへのインタビューから、求人票だけでは見えない仕事の魅力が見えてきました。
株式会社フジクラについて
御社の事業を簡単に教えてください。
フジクラは創業140年の非常に歴史のある会社です。事業の柱は大きく分けて、情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギーの4分野です。中でも、近年は情報通信分野が非常に好調で、業績を牽引しています。
貴社の強みは?
最大の強みは、情報通信分野での好調な業績を支える、光ファイバー関連の商材です。特に、生成AIの進展に伴うハイパースケールデータセンターへの投資増加を背景に、情報通信分野の売り上げが急増しています。光ファイバーや、それをサーバーと接続するためのコネクター、融着器といった製品に、独自のユニークな技術が使われています。
この技術と市場の成長により、フジクラは非常に安定した成長を遂げており、売上高と純利益がいずれも過去最高を記録しました。売上高は2期連続、純利益は4期連続の更新という、絶好調な経営状況にあります。
社内での知財部の位置づけは?
知財部門は、従来の「受け身の仕事」(出願・特許調査など)から脱却し、「知財戦略活動」を全社的に推進する役割を担うようになりました 。
そのため、フジクラでは「知財戦略が事業戦略に溶け込んでいる状態」を目指し、知財戦略活動を全社的に仕組み化しています 。
この仕組みは、事業開発のアーリーステージ(事業の種を見つける段階)から知財情報という客観的な情報をインプットし、議論に参加する形で積極的に機能しています 。
また、経営陣の理解も深く、知財活動が会社の成長に不可欠であるとの認識が広がっていて、戦略活動がより効果的に機能するよう、知財部の人員の強化を下命されています 。
働き方・職場の雰囲気
職場の雰囲気は?
知財部門はリモートワークが主流であり、普段の職場は静かです。しかし、出社して集まると、愉快な雑談やたわいもない話で和気あいあいとしています。対面での機会が少ない分、チームズ等での通話やコミュニケーションを意識的に取るようにしている側面もあります。
飲み会など、業務外での交流は?
部署全体での大人数の飲み会は、コロナ以降はなくなりました。リモート主流のため、終業後に集まることが難しくなったためです。しかし、グループ単位では、半期に1回程度の頻度で飲み会が設定されています。
また、佐倉事業所では、コロナ前、毎年行っていた夏祭りが復活しており、芸人やフードトラックを呼ぶなど大規模な文化祭のような雰囲気で、社員主導で盛り上がっています。春には、敷地内の桜の元で花見ができ、会社から、お弁当の販売や機材の貸し出しなども行われています。
教育制度・評価制度
評価制度について教えてください
目標設定を立て、その達成度を評価する一般的な仕組みを採用しています。知財部門の評価軸は、単純な出願件数だけではなく、その案件の中身や質、会社への貢献度も含めて判断できるような目標設定を目指しています。
教育制度について教えてください
知財に関する自己研鑽へのサポートは拡充中ですが、今年度から資格取得の補助が出るようになりました。比較的広い範囲での資格をサポートしていて、具体的には、弁理士試験の受験費用や、弁理士登録者が特定侵害訴訟代理業務付記登録のために必要な研修費用などが、一定の条件でサポートされます。
キャリアパスのイメージを教えてください
王道のキャリアプランは決まっていないのが現状です。
ただし、会社が北米市場を重視しているため、アメリカの関連会社との連携が増加しており、語学力があれば、将来的に海外リレーションに関わるチャンスは増える可能性があります。また、渉外チームへのローテーションは現実的な選択肢としてあります。
「自分で道を作る」自由度が高い風土で、もしアメリカ勤務を希望する人材がいれば、会社もその実現に向けて検討する姿勢があります。
今回の募集の背景・求める人物像
今回、募集を出した背景について教えてください
事業の好調と、上記の理由により、知財活動の「受け身」から「戦略的推進」へと、業務内容の変更があり、現在のマンパワーでは「人手が足りない」ためです。
全社的に事業戦略に即した知財戦略が重要視されており、特に好調な情報通信分野においては、市場がアメリカ中心であり競合も多いため、出願権利化を増強し、知財面での強化が急務となっています。
この戦略的な活動(IPLや事業/開発戦略への参画)を実践し、さらに良い活動へと発展していくためにも、新しいメンバーを迎え、組織として強くなりたいという背景があります。
求める人物像は?
知財の専門知識はもちろん大前提ですが、最も重視するのは以下の点です。
1)ビジネスマンとしての基本能力
- 判断力
- 人の話をしっかりと聞ける能力(開発者・事業部の意図を洞察するため)
- 文書の読み書きがしっかりできる(ベースとなる力)
- 前向きに仕事に取り組むマインド
- 社会人としての普通の振る舞いができること(専門家意識に偏りすぎない)
2)事業的な観点とベンチャーマインド
- 事業的な観点から話ができ、ベンチャーマインドを持って主体的に動ける人
3)語学力
- 英語の語学力がある方は、北米の関連会社との連携強化の観点から特に歓迎します。
編集後記
まずは、今回お話を伺ったお二人が、優しくて暖かい人柄だったこと、一方、会社は、各社がお題目で終わりそうなことを仕組化して真剣に取り組んでいる点が、印象的でした。
フジクラさんは、知財を「事業戦略と融合させる」ことを全社的に、仕組みとして準備することが終わったタイミングのようです。
一般的な「会社の知財権利を管理する仕事」だけでなく、事業の成功を会社の仲間と共に作り上げていくという、ダイナミックで影響力の大きい仕事に挑戦できる環境が用意されてます。
決まったレールがないからこそ、あなたの専門知識とビジネススキル、そしてベンチャーマインドを活かし、自らの手で新しい知財キャリアを切り拓きたいと考える方にとって、これほどエキサイティングな環境はないでしょう。
まずは、カジュアル面談を通じて、あなたのスキルや志向がこの「変化のど真ん中」にある知財部門でどのように活かせるか、直接話しを聞いてみませんか?
