株式会社チップトン インタビュー

株式会社チップトンについて

株式会社チップトンはどんなことをしている会社ですか?事業概要を教えてください

当社では現在、大きく5つの事業を手掛けています。

  1. バレル研磨製品
  2. 石油精製・石油化学向けセラミック製品
  3. 研削砥石
  4. 食品・医薬品向けコーティング装置
  5. 医薬品・食品・化学材料向け混合反応装置

この中でもバレル研磨製品を主体とし、バレル研磨機と付帯装置、バレル研磨石、バレル研磨用コンパウンドの製造を行っています。ほかの4つの事業はバレル研磨製品を応用したものですね。

バレル研磨機と付帯装置はその名の通り機械設備で、バレル(容器)にワーク(研磨対象)とバレル研磨石を一緒に入れて回転させたり振動させたりすることで、ワークを磨いていきます。バレル研磨用コンパウンドは食器用洗剤などと同様の配合をしているもので、ワークを綺麗にしたり色調を変化させたりなどの働きがあります。

またバレル研磨石は、砥粒をセラミックスやプラスチックなどの結合剤で固めたものなのですが、自社工場で焼成して製造を行っています。

このように当社は、生産用機械の製造業でありながら、窯業・土石製品の製造業でもあり、化学品の製造業でもあるという多様な製品群と技術を併せ持っています。

事業展開をするとなると、まさに知財担当者の出番!となりますね

そうですね!新製品を出すときや新しい分野に参入するときは必ず、特許を取ったり他社権利を侵害しないよう確実にやっていこうというのが当社の方針です。

このように特許を重視するのは、創業者が発明を重視していたことが大きく、現在も「発明届出制度」という形で職務発明を推奨していたり、いろんな発明表彰の事業に応募したりもしています。

例えば愛知県が県内の優れたモノづくり企業に出す「愛知ブランド企業」という認定を、第一回にていただきました。

それに社長をはじめとした上層部、そして会社全体が知的財産に対して高い関心と理解を持っているので、仕事も非常にやりやすいです。

会社全体の強みは?

研究開発型の企業であることだと自負しています。

私たちは企業理念の「発明5訓」を企業精神の拠りどころとし、バレル研磨等の表面処理を通してお客様の新たな価値を生み出します。

【発明5訓】

  1. 発明は誰にでもできる生きる道
  2. 発明は行き詰まりが出発点
  3. 発明の執念が行き詰まりを突破する
  4. 発明は知恵と知識の相乗成果
  5. 発明は発明を呼んで発明する

そして常に未来への隘路あいろに挑戦し、切り拓き、深耕する。顧客ニーズに対して決して「ダメです、無理です、できませんとは申し上げない」を全従業員が共通認識として持っています。

ここで言う”発明”とは新製品開発や特許に限定したものではなく、全社全部門で広くクリエイティブな仕事をしていこうという意味です。

そして”発明”は行き詰まりが出発点だったり、何としてもやり抜こうとする執念だったり、自分に足りない知識は人を巻き込んで集めたりと、既存のモノの積み重ねで新たな変革が生まれることを示しています。

また過去の発明を称えるため、名古屋市南区の本社のエントランスには、過去に取得した特許証を壁一面に掲示しています。

特許法務室の日々の業務について

“企業の知財の仕事”には様々なものがあり、扱う範囲も会社ごとに様々です。そこで貴社の特許法務職が扱う仕事内容について、知りたいです

当社の特許法務室の仕事は大きく、特許管理業務・契約審査(法務業務)・各種補助金申請業務の3つに分けられます。

先ほどお話したように、当社は知財や発明を重視している会社です。そのため軸足を特許管理業務に置きつつ、関連のある契約審査等の法務業務、補助金申請業務も担っていただくという形になっています。

一番の中心・特許管理業務について

重圧バレル研磨機(特許第5555383号)
2019年 全国発明表彰受賞

特許管理のために行っている業務は多岐に渡ります。

まずはやはり特許出願業務です。先行技術調査からはじまり、打ち合わせ用の明細書作成、弁理士・発明者を交えた三者での打ち合わせ、弁理士が作った明細書のチェックと出願依頼までの一連に特許法務担当が関わっていきます。

開発部から調査を依頼されることもあります。このときは国内外の特許や文献を調査し、レポートをお渡ししています。調査業務としては、新製品上市前のクリアランス調査も欠かせません。

また毎月ルーチンでやっている仕事に、関係部署への特許公報回覧と、全社向けの特許ニュース配信があります。特許ニュースは、回覧する公報の中からめぼしいものを選びA4一枚にまとめたもので、啓蒙活動という意味もあります。

先ほど少し触れた「発明届出制度」にも特許法務職が関わっていきます。職務発明規程に則って年に数回、発明の届出募集を行いますので、評価するための審査会を運営していくのです。

各種契約をチェックする法務業務と、各種補助金の申請業務

法務業務では、各部署から上がってくる契約書の締結依頼に対応していきます。例えば秘密保持契約、業務委託契約、共同開発契約、売買契約など様々な類型の契約書をチェックします。

契約書の作成は先輩や弁護士に添削してもらったり、AI契約審査システムを利用したり、書籍を参考にしたりして短時間かつ高精度なものを作れるようにしています。法務の仕事の経験がなくてもきちんとお教えしますから、ご安心ください。

このほかにも、各種補助金申請も特許法務担当が受け持っています。

知財と法務の両方に携わる機会があるのは面白いですね!

実は知財と法務の仕事は似ていて、どちらも「書類と言葉を使って権利や義務を明確にしていく」役割を担っています。

なので、知財業務で得た知識が法務の仕事に活きたり、その逆も起こります。また知財×法務の相乗効果でより広い視野が得られるというのも楽しい部分です。

それから補助金申請書を作成して感じるのは、どことなく企画書の作成に似ていること。「このような企画を推進したいのでお金を補助してください」といったイメージで申請すると、採択されやすい(企画が通りやすい)と感じます。

申請書が採択された時の達成感はとても大きいです。

ちなみに今回入社する人は、具体的にどの業務を担当しますか?

最初は特許調査業務と契約書の審査業務からお願いしようかと考えています。特許出願業務も、しばらくは先輩に付いてやり方を見ながら取り組んでもらいます。

そして将来的には、いずれの業務も担当していただく予定です。

もちろん経験者の方なら、いきなり出願業務を担当してもらうことも想定しています。

様々なバレル研磨石

チップトンの特許法務職、ならではの特徴・面白さを教えてください

当社の特許法務室は開発部に属していて、開発者とやり取りする機会が日常的にあります。週次ミーティングなども一緒にやっていますし、いつでも開発現場や製造現場を見にいける環境です。

最新技術に一番近い環境で仕事ができるので刺激が多く、さらに特許出願に携わった商品のリリースを間近で見られることで達成感も得られます。会話のなかから発明のネタを見つけることもあり、そんなときは「やっぱり自分で発明を見つけるのは楽しいな」と思います。

弁理士に来てもらい、ひざを交えながら相談し発明を膨らませる、という点も似たような面白さがあります。

やはり実際に顔を合わせて話すと、いろんな角度から発明を見れて思わぬアイデアが出てきやすいですし、結果、特許がより強くなることもあります。こういった膨らみは書面だけでは難しく、生まれてきません。

特許戦略を作る時も、非常にやりがいを感じます。当社では特許法務室が、従来特許や周辺特許を十分に調査して自社の立ち位置と事業環境を明確にしたうえで特許戦略を練ります。

そしてそれを会社に上申する形で経営層とコミュニケーションを取りながら形にしていくのは腕が鳴る部分です。

経験や専攻分野、意欲次第では実務経験を問わず応募OKとのことですが、「とはいえ最低でもこの経験は持っていてほしい」といったものはありますか?

「事務仕事が全然無理」「英語は見たくもない」「技術的なことは全く分からないし、勉強もする予定がない」といった方でなければ大丈夫な職場なので、興味がある方はぜひ気軽に連絡いただければと思います!

当社に限った話ではありませんが、知財・法務系の仕事はたいていが文書を読んだり書いたりするものです。なので書類を読む・書くという事務ワークが全然無理という人は困ってしまいます。

あとは仕事柄、英語に触れる機会が一定数あるので、英語を見ただけで拒絶反応が出ちゃう方も難しいですね。

そして特許業務が軸になる職種ですから技術系の方が望ましくはあります。もちろん文系の方も、やる気があって勉強します!という方なら歓迎ですから、気負わずご連絡ください。

職場の環境について

職場の雰囲気について知りたいです

現在、当社で特許法務に関わっている者は4名いるのですが、特許法務室も開発部も、和やかな人が多くカリカリした空気はありません。

またどちらかというと、みんなで相談しあいながら仕事をしていますので、適度に活気のある職場です。

毎週1回進捗ミーティングを開いて互いの仕事の進捗状況を報告したりしています。

働きやすさという面から見た貴社について、教えてください

条件を満たせばテレワークができたり、対象者皆が育児休業を取っていたり、女性社員の昇格昇級も活発だったりと、男女問わずに働きやすい環境だと思います。離職率も他の会社に比べ低いようです。

フレックスタイム制や半休制度もありますが、条件が少々細かいので、詳しいことは別途お伝えしています。応募前や面接時に、お気軽にご質問ください。

また全社的に長時間残業をしない雰囲気や、ハラスメント防止には上役も非常に気遣いしているので、のびのび仕事ができるのではないでしょうか。

(編集部注:特許法務職の勤務先は愛知県海部郡飛島村にある飛島工場。名古屋市中川区、港区の西隣に位置します)

今回の求人について

いま具体的には、どのような人材を求めていますか?

先ほど少し触れたように、文書作成にアレルギーがないことがまずは必須です。

あとは、まじめで正義感が強い人。「必ず特許を取る」とか「この製品で何件特許化する」とか目標意識の高い人が良いと思っています。

特許か法務、あるいはその両方の実務経験があると望ましいですが、先輩社員が丁寧に指導しますから、初心者の方もぜひご応募ください。弁理士の資格を持っていない人も、より発明者に近い立ち位置で仕事をしたい特許事務所勤務者も、企業知財に対する意欲のある人なら広く歓迎しています!

英語力もある程度必要になりますか?

英語を扱うことに抵抗がなければ問題ありません。

もちろん英語ができた方が有利ではあります。特に当社は英語教育に力を入れているので、勉強する気があれば、TOEIC受験や学習費の補助が受けられます。TOEICの高得点者には褒賞金も支給されます。

最後にひとこと、転職者へメッセージをお願いします!

特許専門職というわけにはいきませんが、特許や法務、補助金申請などを通して、いろいろな業務を経験できるところが面白いと思います。

その中でなりたい自分を見出し、ぜひ自身のキャリアアップ形成を図ってみてください。

みなさんと一緒に働けることを楽しみにしています。