トクラス株式会社 人事&知財担当者インタビュー
今回は人事担当者のHさん(以下、Hさん)と、知財業務担当者のIさん(以下、Iさん)にお話を伺ってきました。
トクラス株式会社の事業について
トクラスはどんな事業を行っている会社ですか?
Hさん:私たちは住宅設備の中でも、水回りに特化して商品開発および製造を行っている住宅設備機器メーカーです。
主にキッチン、バスルーム、洗面化粧台、浄水器といった商品を扱っており、売上比率ではキッチンが6割を超えています。
コアビジネスである国内住宅設備機器事業のほかにも、中国の子会社を中心とした海外事業にも展開をしています。
最近では工事いらずで後付けできる蛇口直結型浄水器を発売したり、弊社の持つ人造大理石と塗装技術をかけ合わせた「リュッケファーブ」というキッチンの扉素材を新発売&特許出願したりもしています。
トクラスの歴史
水回りに特化したメーカーで塗装技術が得意、というのは意外な印象です
Hさん:これは弊社の歴史に、深い理由があるんです。
住宅設備メーカーというと、パナソニックさん、LIXILさん、TOTOさん、タカラスタンダードさん、クリナップさん等々、挙げたらキリがないのですが、「歴史」はこれらの競合他社と大きく違っている部分にもなります。
実はトクラスは、楽器メーカーとして有名なヤマハを前身としている、結構ユニークな企業です。
1967年、日本楽器製造株式会社(現:ヤマハ株式会社)のなかにホーム用品事業部が発足したのが原型です。その後の1991年にホーム用品事業部が分社する形でヤマハリビングテックという子会社になり、時を経て2013年、ヤマハから完全に独立する形でトクラスという会社になりました。
ヤマハには楽器作りを通じて培われた技術がいくつもあり、塗装技術もそのひとつに当たります。
そのため、弊社では塗装技術を活かしたオリジナル商品を複数開発できているんです。
トクラスの強み
そんなトクラスの強み・特徴はどこにありますか?
Hさん:先ほど挙げたような競合他社に比べると、弊社は決して大きな規模の会社ではありません。
ですが浜松本社の敷地内に工場が隣接していて、そこでものづくりをしているのは何よりもの強みだと思っています!
本社に在籍している開発部門のメンバーが、直接工場の中で製造部門のメンバーと話しながら試行錯誤しあえるという、開発と製造の距離の近さは、ほかにない特徴ではないでしょうか。
工場で実際に製造に携わるメンバーから開発メンバーに向けて「こんな商品があってもいいんじゃない?」「こういった技術があるよ」といった提案が出て、商品化につながることもあります。
Iさん:リュッケファーブがまさにそれですね。こちらの技術はつい先日特許査定も出て、無事に権利化されました。(編集部注:リュッケファーブの特許公報、特開2023-048538はこちら)
おお、特許査定おめでとうございます!
では貴社が大切にしていることについて教えてください
Hさん:やはり企業理念の、お客様の「まいにち」と暮らす、に尽きます。
意外かもしれませんが、私たち住宅設備機器メーカーとエンドユーザーの距離感は結構遠いんです。販売店や工務店を介して商品がエンドユーザーの元に届くので、なかなか商品を使用されるお客様が見えづらい状態があります。
ですが、やっぱり一番見なきゃいけないのはエンドユーザーのお客様だよね、ということでトクラスではこのようなポリシーを掲げ、お客様の存在や視点を大切にしながら日々の業務を進めています。
知財担当者の日々の業務について
ここからは知財業務担当者の仕事についてを伺っていきます
ひとくちに「知財の仕事」といっても多岐に渡りますが、トクラスでは日々どんな業務を行っていますか?
Iさん:現在トクラスでは、知財部という独立した部署があるわけではなく、総務室の一角に知財業務担当者が所属しているというスタイルで仕事をこなしています。
私たちのポリシーは「知的財産権を尊重する」です。自社の権利はもちろん、他社の権利も尊重する姿勢で仕事をしています。
具体的には、事業に貢献できる権利の確保と他社の権利を侵害しないという知財業務の基礎部分を重視していて、出願関係と侵害予防調査という2点に腰を据えて取り組んでいます。
そして今後は、組織の強化の中で、当社固有の知的資産を認識し、有効に組み合わせて活用し収益につなげる所謂「知的資産経営」に貢献したいと考えています。
では今回入社する人も、まずは基礎部分の権利化関係のお仕事をメインに扱っていく形ですね
Iさん:はい、そうです。今回採用する方には、主に特許と意匠の仕事をお任せする予定です。
特許と意匠がメイン、とのことですが、〇〇の技術知識があると良い、なんてことはありますか?
Iさん:製品の特性上、構造的な理解が必要になりますから、機械系の方ですと仕事になじみやすいとは思います。
もちろんそれ以外の分野、化学系や電気系の方でも大いに歓迎しています!
幸い商材が身の回りにあるものですから、機械系を専門にしていなくとも理解しやすいと思います。
トクラスで知財業務を担当する面白さを教えてください!
Iさん:工場が近くて、開発の早い段階から情報を入手できること、そして開発部門や製造部門と一緒になって仕事に取り組めるというのは面白い部分だと思います!他部門とコミュニケーションを密に取りながら知財の仕事ができるのは楽しいです。
また扱っている商品がキッチン、お風呂、洗面など身近なものが多いのも特徴的ですね。
では教育面についてはいかがですか?
Iさん:入ってきた方のレベルによりますけども、基本的にはOJTを通じて実務の指導をしていきます。
それ以外にも、知的財産に関するセミナーはあちこちで開催されていますし、浜松の場合は市が開催しているものも少なくありません。自分のペースで勉強する機会がたくさんあると思います。
知財業務担当者目線での「浜松ならではの良さ」
Iさん:知財業務担当者という目線から見ても、浜松には他にない良さがあります。
まずは世界に誇るような大企業から中小企業まで、たくさんのメーカーが浜松に本社・工場を構えている点です。
それぞれの会社の知財担当者はとても少人数で、相談できる人がいないことも珍しくありません。
ですがトクラスはヤマハの流れを汲んでいることもあり、経験豊富なOBに相談することも可能です。
また浜松の商工会議所で、市内の小規模〜中堅企業の知財部員による集まりが開催されています。やっぱり知財同士だから話せることがありますし、意見交換できたりするので、こういった機会はとても貴重です。これは浜松にある会社だからこその良さかなと思います。
職場の環境について
トクラスはどんな社風の職場ですか?
Hさん:社内からも社外からも、人柄の良い会社だねという言葉を頻繁にもらいます。社内では、上司を役職名ではなく「○○さん」と呼ぶことが多いため、そういったところも穏やかな社風につながっているのかもしれません。
Iさん:やりたいことをやらせてもらえる環境です。もちろんトップダウンの仕事はありますし、やりたいことの実現のために上司を説得する必要はありますが、それがポジティブな提案であれば受け入れてくれる懐の広さがあります。
また、ある程度裁量を持って仕事ができる点も良いなと思います。
Hさん:人事からお隣の部署の総務を見ていると、なかなかチームワークに長けた組織だなと感じます。
総務室には知財担当者もいれば社長秘書、施設管理担当者もいるといった形で、本当に様々な仕事に携わるメンバーで構成されています。
ですが社内の仕組みが変わったときなどには、総務室メンバーがチームとなって率先して動いていく組織だなと感じています。
社員全員が「働きやすい」と感じられるように
働きやすさという面からみた貴社について、教えてください
Hさん:本社はフレックスタイム制なので、家庭や個人の事情に合わせて働けるようになっています。
またコロナの影響もあってテレワークも並行して取り入れていっていますので、働き方のスタイルも選べるようになりました。
産休・育休は女性だけでなく男性も取得している実績がありますし、産休・育休から復職している実績も多数あります。
たしか貴社は女性社員が半数以上を占めているのですよね
Hさん:そうですね、当社は男女比がほぼ1:1で、女性のほうがやや多いという組織構成になっています。
2023年には女性活躍推進企業として、厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定」の認定段階最高位である3つ星の認定を受けました。
なにより、女性が働きやすい会社は男性にとっても働きやすい会社なので、男女問わず社員全員が働きやすいように取り組みを行っています。
浜松市自体が「働きやすい」街
トクラス本社のある浜松は、市が子育てに力を入れていますよね。そういう面でも「働きやすい」と言えるかなと思いました
Hさん:住みやすさ、という意味でも浜松は良いところだと思います。年間を通して温暖な気候ですし、とにかく食べ物が美味しいです。
車メインの生活になるので、浜名湖をはじめとする郊外へのお出かけもしやすいです。新幹線も通っているので、東京方面・名古屋大阪方面のどちらも行きやすいです。
Iさん:郊外のお店が非常に多いですし、当社の本社兼工場も、浜松駅から車で20~30分という、ちょっと街中から離れた場所にあります。
車通勤をしている人が多く、それもあってかお酒を飲む機会は少ないかもしれませんね。
今回の求人について
貴社では今、どんな人材を求めていますか?
Hさん:会社全体では、やっぱりチャレンジングな方を求めています。
中途採用ですから、みなさん新しい世界に飛び込んでいこう!という気持ちのある方だと思います。そのうえで、いろんなことに興味を持ってチャレンジしていく姿勢をお持ちだと、仕事がより楽しくなると思います。
特に本社は工場が横にあり、開発・製造部門のメンバーもみんな揃っているという環境なので、部門を超えたコミュニケーションがかなり活発に行われています。
なので自分から「やってみたいです」と動ける方なら、すごく仕事が面白くなると思います!
知財業務担当者目線では、どんな方を求めますか?
Iさん:知財の世界では、5年くらい仕事をやらないと一人前にならないと言われています。
先輩からの指導、セミナー、弁理士の先生との出会いなど、勉強の機会は各所にありますし、私自身もそうやって学び成長してきました。
こういった、外との出会いも大切にしてコミュニケーションを取りながら自分を高めていくことに関心がある、端的にまとめると自己向上の気持ちが強い方に来ていただきたいと考えています。
また知財の仕事ではロジカルな考えを随時求められるので、論理的な考えのできる人を求めています。
トクラスは開発も製造も経営も近い環境があるので、これらの部署に働きかける意気込みがある方も大いに歓迎しています。
最後にひとこと、メッセージをお願いします
Iさん:住宅設備機器メーカーではコモディティ化が進んでいると言われています。つまり、特許が完了している技術だけで作られていて、差別化が出来ていないということです。
これからは新しい発明や特許を見つけていき、あるいは作っていくことが求められます。そんななかで、一つひとつきっちり権利化していくことを一緒に頑張れる、そんな方からのご応募をお待ちしております!
Hさん:トクラスは中途の人のほうが多く、中途だから~新卒だから~という理由で変に区別を付けられることはありません。
やる気さえあればやりたいことができる環境です。特に本社は、自分次第で変えていけることも多いのではないかと思います。
意欲あふれる方と一緒に働けたら嬉しいです。ぜひご応募ください!