国立研究開発法人防災科学技術研究所 インタビュー
国立研究開発法人防災科学技術研究所ってどんなところ?
さっそくですが、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)はどんなことをやっている機関ですか?
防災科研は、文部科学省所管の国立研究開発法人として、地震、津波、噴火、気象災害などのあらゆる自然災害を対象に、予測、予防、応急対応、復旧・復興という防災の全てのフェーズで、防災科学技術の研究開発に取り組んでいる研究機関です。
自然災害から人命と社会を守るため、防災に関する総合的な研究をしているのが、我々「防災科研」です。
例えば、どんな研究をされているのでしょう
つくば本所にある大型降雨実験施設では、日本の観測史上最大の豪雨を再現することができ、地すべり、土石流、洪水などの実験研究を行っています。また、雨の中でもドローンや自動運転技術が有効に機能するかといった性能検証実験を行ったりしています。
兵庫県にある世界最大級の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)では、1,200トンもの実物大の構造物を震動台に載せて地震を再現することができ、耐震性能の評価や対策技術の検証などの実験研究を行っています。
実は生活に密着している、防災科研の研究
みなさんに身近なところでは、全国約2,100の観測点からなる陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)の観測データは、基礎研究に利用されるだけでなく、気象庁をはじめ鉄道事業者や自治体でも活用されています。
このリアルタイムで得られる観測データは、スマホや各種ニュースで流れる緊急地震速報や津波警報、各地の震度情報など、みなさんに危険を知らせる防災情報として活用されています。
ほかには、雨の状況が見れる”雨雲レーダー”にも私たちの技術が活かされています。みなさんがアプリなどで目にする雨雲レーダーは、国土交通省のXRAINという全国的に整備された高精度に雨量を観測できるレーダーを活用したりしているのですが、このレーダーの解析技術は我々防災科研が開発しました。
緊急地震速報に雨雲レーダー…。本当に身近なものにも貴所の技術が活用されているんですね…!
知財担当の日々の業務について
では貴所において、どんな業務を担当しますか?
一番メインとなるのは、知的財産の管理・活用で、特許権等の出願から登録までの事務手続きや、年金納付などの各種維持管理手続きなどです。
それから弊所内に知的財産委員会という、職務発明の認定等を審議する委員会があり、その事務局の役割も担います。
ほかにも、弊所の特許や著作物を使用したいという外部からのお問い合わせなども対応しています。
ちなみに、地球科学の専門知識がないと全然仕事にならない職場ですか?
まったくそんなことはありません。
もちろん地球科学の知識があるとより良い仕事ができると思いますが、現職の担当者も全員が地球科学に詳しい理系出身というわけではありません。
この職場の知財担当ならではの特徴・面白さを教えてください!
防災科研での仕事は、担える仕事も幅広く、自分で考える裁量も大きいです。その分大きな視点で仕事ができる面白さを感じます。
研究者の方からいろいろな技術内容を聞いて、研究成果をどのように特許化できるかを考え、多面的な観点から発明の掘り起こしをします。さらに発明をどう展開していくか戦略を練り、最終的に特許権になった後はいかに実施・展開するか考え実行してゆきます。
弊所にはほかにも莫大な実験データなどもあり、研究成果を特許以外の著作権などを含む知的財産全体の観点から”いかに社会展開していくか”に取り組むことができます。
特許権にとどまらない、まさに本当の知的財産を働きながら学べる環境です!今、特許事務所で働いている方も、企業知財部で働いている方も、それ以外の職場に勤めている方も、ここで仕事をすることでさらに自分自身を成長させることができると思います。
正直、防災科研の研究内容ってどう実施・展開しているのか想像しにくくて…良ければ例を教えてもらえませんか?
例えば雷という気象現象がありますが、様々な兆候を観測・分析すると、どこで雷が発生するかといった様々な情報があらかじめ分かります。
また雷は送電が停止するといった、いろんな産業上のトラブルが生じるおそれもあります。特に半導体産業は数秒電力が供給されないだけで数億円レベルの被害が出ます。
そこで私たちが持っている、雷の発生に関する細かな情報を調べる特許を通じて、電力供給の停止といったトラブルを減らす、といった社会展開が期待されています。
企業知財部とはココが違う、といった部分はありますか?
やはり防災科研は公的機関ということもあって、社会に幅広く普及活用してもらうという点に力を入れていると思います。
弊所では自分たちの研究成果を発表する研究会を開催しており、その際に我々の特許の要旨集を配布したり、知的財産に関する相談コーナーを設置したりするなど、企業や自治体の方々に広める取り組みを行っています。
他にも産業振興センターなどにお招きいただき、防災科研の知財について紹介する活動をしています。
上記のような、一般的な知財業務とはちょっと違った活動もできるのは防災科研の知財担当として働く面白さのひとつだと思います。
職場の環境について
転職者としては職場の雰囲気も気になる点ですが…
私自身、調査会社等を経てこちらに勤めているのですが、すごく雰囲気が良くて安心して転職ができると思います。
民間企業だとどうしても利益を上げることが求められ、なかなか苦しい思いをすることもあるのではないでしょうか。職場によっては人間関係がピリつくこともあるでしょう。
その点、防災科研は公益のために仕事をする場所なので、業務が直接世の中の役に立っていることを実感でき、やりがいを感じます。
また知財担当者はもちろん、研究者のみなさんも気さくでコミュニケーションを取りやすい方ばかりなので、その点でも働きやすい職場だと思います。個人的には、研究所のなかで全然違う所属の初対面の人と会った時も、皆さん挨拶をしあうのは素敵だなと思っています。
逆にやりづらい点、働きにくさを感じる部分などはありますか?
うーん、つくば駅から職場が少し離れている関係で、電車通勤の場合は送迎マイクロバスを使用することくらいでしょうか。
時差出勤やテレワークも可能ですし、休暇制度もかなり充実していますから、働きにくいなと思うことはほとんどありません。
今回募集しているのはいわゆる有期の契約職員で、任期は1年ごとに契約更新・最大5事業年度までです。5事業年度目に無期労働契約への転換についての審査があり、審査に合格すると、最大で65歳まで働くことが可能となります。安心して長く働ける良い職場だと思います。
今回の求人について
具体的に求めている人物像は?
求める人物としては、一生懸命積極的に業務に取り組む方、協調性を大切にできる方です。同じ部署の人はもちろん研究者とコミュニケーションを取り、業務を進める必要がありますから、積極性や協調性は大事です。
最後にひとこと、転職者に向けてメッセージをお願いします!
国立研究開発法人の知的財産管理・活用を通して、私達に身近な防災の研究成果を支える仕事をしてみませんか?
多くの研究者と連携しながら、専門知識を活かし、社会貢献につながる魅力のある仕事です。
皆様のご応募、お待ちしております!
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