未経験で知財部に異動!開発職出身だから見えた、知財部のアレコレ【転職成功談】

経歴

名前:皆藤 翔

転職したときの年齢:20代後半

職歴:企業開発職(約4年間)→企業知財部(約2年間)

勤め先の事業:医薬部外品や雑貨品の製造販売

現職の業務内容

現在は、どのような仕事をしていますか?

医薬部外品や雑貨品の製造販売を行う企業に勤めています。

現在は、それらの製品の特許出願業務を担当しています。

転職(異動)したきっかけ

知財部へ転職(異動)しようと思ったきっかけ・理由は?

主な理由は2つあります。

  1. 開発職の業務の中で、最も興味がある仕事だった
  2. 専門性が高い職種の知識・経験を、今後のキャリア形成の土台としたかった

開発職3年目の頃に、もっと専門的な仕事をしたい、と考えるようになりました。

ずっと同じ企業に勤める時代でないことを、上司との会話や読書などを通し学んだのが、このように考えたきっかけです。

開発職は「専門性が高い」と思っていたので、少し意外です!

医薬部外品・雑貨品の開発職の業務は、知財に関する業務に加え

  • 製品企画
  • 製品仕様検討
  • 生産管理
  • 品質管理

など、多岐にわたります。

幅広い業務に携わるため、一つ一つの業務の習熟度が必ずしも高いとは言えません。

また開発業務には企業ごとのルールがあり、自社での経験が業界で通用するとは限らないのです。

なるほど…。事情をお伺いすると、確かに「もっと専門的な仕事を」という思いにも納得します

そういった事情があったので、業界における共通のルールがある職種に就いて、専門性を高めたいと考えました。

少し調べてみると、知財に関する業務が、特許法をはじめとした共通ルールをベースとしているのが分かりました。

知財に関する業務は、私が開発職の仕事の中で最もやりがいを感じていたこともあり、異動するほかないと考え、すぐに異動希望を周囲に伝えました。

別企業への転職は考えましたか?

はい。数社の転職サイト・エージェントに登録し、転職活動を行っていました。

知財部への異動は簡単ではないと考えていたためです。

実際、希望を出してから異動を内示されるまで、1年半程度かかりました…。

あと少し内示が遅ければ、今頃新しい職場に勤務していたでしょう。

異動を成功させるために

異動を実現させるためにやったことはありますか?

知財関連の業務に携わる機会を増やしました。

あくまでも会社内での異動であるため、開発部にも知財部にも失礼のないようにしなければなりません。

異動希望を出す前と同等以上に開発職の業務をこなしながら、知財に関する業務の量を増やしました。

具体的には、

  • 製品に関する知財権の出願の検討
  • 新規製品・材料の開発着手時の、公開特許公報の活用

などですね。

これらを行うことで、知財部と打合せを行う頻度が増えました。

打合せなどを通し、知財部に対する気持ちを表現し、知財部側にも異動を認めていただきました。

元開発者からみた知財部のアレコレ

知財部の魅力

知財業界は研究・開発職から転職する人も多いです。そこで、元開発職からみた知財部の魅力を教えてください!

仕事の内容・進め方それぞれに魅力があります。

まず仕事内容においては、知財部の方が開発職に比べ、幅広い製品に関われる点が魅力です。

新しい技術に触れられる回数が多いのも魅力ですが、何より、各案件で得た知識・経験により生まれる相乗効果、新たな気付きが、仕事にやりがいを生んでくれます!

私の場合は今、医薬部外品と雑貨品の両方の特許出願に関わっています。それらの

  • 技術的な課題
  • 求められる機能・品質
  • 測定する物性

などが異なるため、様々な視点から各製品の技術に触れられます。思わぬ気づきのきっかけになり、仕事の質も高まっていきます。

開発職の場合、このような幅広い範囲の業務を一人の社員・一つの部署が担当することはないでしょう。

仕事の進め方は、どんな部分が魅力的ですか?

自身のペース・裁量を調整できる点は、開発職にない魅力だと思います。

  • 1案件に関わる人・部署が少ない
  • 緊急案件が少ない(締切までの期間が長い)

という特徴が知財部にはありますからね。

開発職では、関連部署からの問い合わせが多く、その日に予定していたタスクを業務時間内にこなせないことが多くありました。

必然的に残業が増え、少なからぬストレスになっていて。

知財の仕事でも複数の案件を担当していますが、急な問い合わせが少なく、それぞれの締切が短くても一週間はあるため、自身のスケジュール通りに進められます。

仕事で苦労する部分

開発と知財部、それぞれの職の大変さについて教えてください

開発部にて最も苦労したのは、複数の製品開発を並行して進めなければならないことでした。

一つの製品の開発だけでも、関連部署・原料メーカー・製造先など多くの人と連携を取ります。

新入社員の頃は、全ての製品開発をスケジュール通りに進めることに忙殺されていました。

製品開発にはトラブルがつきものです。

  • 安定した品質の担保が難しい
  • 大量生産に向いていない
  • 機能が優れていてもコストが高くて採用できない

など、多くの課題と向き合いながら仕事をし続けるのは、決して容易ではありませんでした。

お話を伺うだけでも大変そうだと感じます…!では知財部ならではの難しい部分はどこですか?

知財部にて最も苦労しているのは、文書のみで相手に物事を伝えることです。

開発職の頃は、社内・社外の人に状況を説明する際、原料や製品の実物(サンプル)を用いるのが一般的でした。

そのため、文書で伝えきれない部分をサンプルの使用感などで補えたのです。

しかし知財部では、あらゆる手続きを文書だけで行います。

特許出願に関する書類はもちろんのこと、一つのメールにおいても、相手にどのように伝わるか・もっと適切な表現はないかなど、細部への注意力が高まりました。

現職に繋がる、開発の経験

開発職の経験は、現在どう活きていますか?

開発職にて複数の案件を並行してスケジュール通りに進める力を身に着けました。

それは知財部で間違いなく活かされています。

各案件において

  • タスクを細分化し、それぞれの締切を設ける
  • 上司への中間報告のタイミングを決める
  • 特に深く調査・勉強することを決める

ことに慣れていたため、仕事の進め方で苦戦はしませんでした。

これにより、異動後は知財部として新しく学ばなければならない点に集中力を割くことができています。

知財部の日々の仕事について

風の噂で、知財部のカラーは会社ごとにびっくりするほど違うと聞きました。
そこで、普段どんな仕事をしているか、ぜひお伺いしたいです

私の担当業務は、特許の出願・権利化・権利行使です。

もう少し具体的にお話をすると、例えば特許出願業務では

  1. 研究開発部門から発明のタネになりそうなデータの収集
  2. 収集したデータと、公開されている文献などの技術情報の比較
  3. 明細書の作成・追加データの取得

といった流れで仕事を進めています。

特許出願業務と聞くと、3の明細書の作成をイメージされる人が多いかもしれません。

もちろん自分で明細書を作成することもありますが、仕事量に合わせて、時には外注することもあります。

個人的には、企業の知財部にしか出来ない1の発明のタネ探しが、最も力を入れなければならないプロセスであると考えています。

職場は、どんな雰囲気ですか?

びっくりするくらいメリハリがあります。

知的財産権は企業の経営を支える財産であるため、仕事の際は細部まで気を遣い、あらゆるリスクを検討します。

一方で、仕事のスキマ時間の雑談では、さっきまでの彼らはどこにいったのだろうと感じるほど、明るい雰囲気に変わるんです。

私は、集中するタイミングを作りやすい今の環境を気に入っています。

将来のキャリアプランについて

今後のキャリアプランは、どのようなものをお考えですか?

知財部に異動してまだ2年ほどではありますが、今後も企業の知財部で働き続けたいと考えています。

特許事務所での仕事に比べ

  • 実験データに触れられる機会が多いこと
  • 出願・調査業務に加え、製品開発・事業戦略にも関われること

などが、私にとっての企業知財部で働くことの魅力です。

転職をするかは、現時点では何とも言えません。

現在の職場にて、様々な製品・事業に関する技術に触れながら、さらに専門としたい分野を見つけたいと考えています。

最後に、これから知財部で働きたい人にアドバイスをお願いします!

知財部への転職・異動のために、仕事のベースとなる知識・経験があるに越したことはありません。

しかし、個人的には一人で準備しすぎず、まずは求人に応募するのがよいと考えています。

主な理由は以下の2つです。

  • 求人に応募する・異動の希望を伝えることで、入手できる情報量が格段に増える
    (意思を周りに伝えると、支えてくれる人が驚くほどたくさんいます)
  • 知財部における実務を経験しなければ得られないものがたくさんある
    (一人前になるのに10年かかると言われる、とよく言われます)

転職・異動には勇気がいりますが、知人や転職サイト・エージェントを巻き込んで、一日でも早くスタートを切ることをおすすめします。

私も、知財の業務経験がほとんどない状態で知財部員として働き始めました。

初めは負荷が多く、大変な時期もありましたが、早めに異動してよかったと実感しています。

本日はありがとうございました!

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