特許事務所を辞めたくなる理由。状況を良くする方法も特許事務職員が教えます!

特許事務所 やめたい

特許事務所に就職を考えている方は特許事務所がどのような職場が想像がつきにくいと思います。

働いている人に話を聞くと

辞めたい・・・
辛い・・・
転職したい・・・

というネガティブな意見を聞くこともあると思いますが、「辞めたい」と言われる理由がわかれば、特許事務所が自分に合う職場かどうか判断できると思います。

そこで本記事では、特許事務所を辞めたくなる理由について、現役の特許事務所の職員が解説します!

併せて

  • 特許事務所に向いている人の特徴
  • 「辞めたい!」という状況を改善する方法

についても解説しますので、特許事務所への就職を考える人や、現在働いていて「辞めたい!」と思っている人は参考にしてください。

特許事務所を辞めたくなる理由

どんな職種でも、やりがいや楽しさを感じることもあれば、辛いと感じる業務があると思います。

特許事務所の業務にも「辛い・やめたい」と思われる理由がいくつかあります。

期限付きの案件が多い

特許事務所の仕事は、企業から出願依頼を受けて、「出願書類の作成」というものがあります。

そして、出願書類の作成の打ち合わせ時に、クライアントから「〇月〇日までに出願をしてほしい」という注文を受けます。

通常は、打ち合わせ日から余裕をもって、出願日が決定されますが、場合によっては、「△月△日にレセプションでこの製品を発表するので、あと2週間後には出願をしたい」と依頼されることも多々あります。

このように出願日の日程が変更できない場合は、書類の作成を急ピッチで仕上げる必要があり、常に締切日を気にする必要があります。

また、他にも、特許庁から拒絶理由が通知された場合、通知日から指定期間内に意見書等を提出しなければなりません。

指定期間を過ぎて、意見書等を提出したとしても認めてもらえず、取れるはずの権利が取れなくなってしまうことがあり、特許事務所側としては常に締切日のアンテナを張っておく必要があります。

このように、期限付きの案件が多いため、特許事務所で働く人にとっては、ストレスに感じるかもしれません。

責任が重い

特許事務所は、クライアントの知的財産権に関する権利の取得、維持及び行使等の一端を担っています。

知的財産権は企業にとって無体財産の内の1つであるため、特許事務所の仕事はクライアントの無体財産に直接的に関与することになります。

例えば、自分の書いたクレームの範囲が広い範囲をカバーしているものでなかった場合、その企業がもつ特許権の範囲が狭くなるため、他人に権利行使できない場合が出てきて、不当にクライアントの利益を害する恐れが出てきます。

したがって、出願書類を書く際は、クライアントの特許権の価値を左右することになるため、個人差はありますが、必要以上に責任を重く捉えてしまう可能性があります。

教育環境が整っていない

出願書類は、大事なものであるとお話しましたが、特許事務所によっては、新人に対しても書類作成のやり方や手続きの流れ等を教える余裕がない事務所も多々あります。

教育環境が整っていないにも関わらず、新人に仕事を押し付けられたりすると、新人からすると、ストレスを感じる一因になるでしょう。

また、分からないことがあれば、調べる必要が出てくるため、そこで余計な時間をとられてしまうことにもなります。

急な仕事が降ってくることがある

明細書等の出願書類の作成を行う特許技術者は、前述したように、急に仕事の案件が降ってくることがあります。

事務所にもよりますが、年度末や四半期末は繁忙期となるでしょう。

繁忙期にも関わらず、期限付きの案件をこなさなければならないため、ストレスを感じる人は多いと思われます。

対人関係のストレスは?

特許事務所は、良くも悪くも個人プレーで仕事することが多いため、ミーティングをしたり、積極的にコミュニケーションをとることがありません。

したがって、そういう意味においては、必要最低限のコミュニケーションしかとらないため、対人関係のストレスは、意外と他の職種と比べて少ないと思います。

ただ、特許事務所の中には、ベテランのワンマン所長が全てを仕切っている事務所も存在しており、その所長と馬が合わない場合は、対人関係にストレスを感じるかもしれません。

特許事務所に向いている人と向いていない人

特許事務所を辞めたくなる人が多い理由を解説しましたが、これらの理由は裏を返せば向いている人にとっては最高の環境です。

具体的にどのような人が特許事務所に向いているのか。逆にどのような人が向いていないのかを現役で特許事務所に勤務している私が解説します。

向いている人

  • 計画的に仕事できる人
  • 自分で学習して成長できる人
  • 必要以上に他人とコミュニケーションを取りたくない人

これらは私が思う、特許事務所で働くことに向いている人の特徴です。

期限付きの仕事をしっかりと計画を立て実行できる人にとっては、とても働きやすい環境だと思います。実力主義な面もあるので、成長意欲の強い人にはぴったりの職場です。

向いていない人

  • 後回しにしてしまう人
  • 自分で分からないことを調べるのが苦手な人
  • 仲間と連携して仕事をしたい人

期限内にしっかりと仕事をこなすことが必須なので、後回しにしてしまう人やクオリティを拘りすぎて納期を無視してしまう様な人は向いていません。

また個人主義・実力主義なところが多いので、誰かに教えてもらうことが前提の人はうまくやっていけないでしょう。

他にもチームでなにかを作り上げるのが好きな人や、大きなプロジェクトをチームで遂行することにやりがいを感じる人は特許事務所にはあまり向いていません。

チームワークが好きで、知財に関わる仕事がしたい!という人は、企業の知財部の方が向いているかも知れません。

特許事務所を辞めたくなったら?状況を改善する方法

働いていればどんな職場でも「辞めたい」と思うことはあるでしょう。

そんな時はすぐに「辞めよう!」と思うのではなく、一度冷静になってどうすれば「辞めたい」と思う状況を打破できるかを整理して考えてみましょう。

「辞めたい」と思う状況を改善するコツをいくつかご紹介します。

仕事の効率を上げる

期限付きの案件にストレスを感じる人は、仕事の効率を上げる必要があります。仕事の効率を上げることで、溜まった仕事を貯めずに解消することで心に余裕をもつことができます。

さらに、仕事の効率を上げることで上司からの評価も上げることができるでしょう。

具体的な仕事の効率の上げ方は、仕事内容にも依りますが「慣れ」と「経験」が大事になります。どの仕事にも共通しますが、一度やったことのある仕事は、初めてやる仕事と比べて時間的、エネルギー的にだいぶ節約することができます。特許事務所の仕事も同様に、仕事内容をパターン化することができれば、経験を積むことで仕事の効率を上げることができます。

普段定常的に作業する内容に関しては、業務内容を細かくリスト化し、いち早く「慣れた状態」を作れる様にしましょう。

リスト化することで、考える労力を軽減することができるので、作業を慣れるまでのスピードを早めることができます。

また日々の業務で得た学びはしっかりとメモを残し、経験として自分の中に蓄積させましょう。

働き出してから数年経つと、このような当たり前のことを疎かにしてしまうことがあります。

初心に帰り、当たり前のことをしっかりと行うことが仕事の効率を上げる第一歩です。

資格を取得し、職場での地位を高める

特許技術者の人は、「弁理士」の資格を取ることで、職場での地位を上げたり、資格手当による給与を上げることができ、モチベーションにつなげることができます。

また、一人でできる仕事の範囲も変わってくるので、様々な仕事にもチャレンジすることができます。

さらに、1人で大体の仕事ができるようになれば、自分で独立することも選択肢として増えるので心に余裕をもつことができます。

上司・同僚との人間関係を良くする

仕事でストレスが溜まっていたとしても、上司や同僚といい関係を築けていると仕事で分からないことを教えてもらったり、手伝ったりしてくれることがあります。普段から上司や同僚との人間関係に気をつけておいた方がいいでしょう。

転職の道は?

状況を改善するために行動してみたが、やっぱり辞めたい!と思う場合、無理してそこに留まり続ける必要はありません。

無理して精神を壊してしまう前に、転職を考えましょう。

同じ業界なら転職しやすい?

特許事務所の仕事は専門性の高い仕事であるため、同じ業界であれば、弁理士、特許技術者、特許事務職員ともに転職はしやすいものと思われます。

経験者の人であれば、歓迎されやすいです。

別の事務所に移る

転職先として、別の特許事務所に転職することが考えられます。事務所の人間が他の事務所に移ることは容易であると思います。前述したように、特許事務所での仕事は専門性が高いため仕事内容がどの事務所でも変わることが少ないため、移籍先の特許事務所事務所からすると教育をしなくてもよく、即戦力になるからです。

これは、弁理士はもちろんのこと、特許技術者や、特許事務員の方も同様のことがいえます。

特許事務所だからといって転職のやりすぎは就職に不利に働く可能性がありますが、自分に合った職場を見つけるまで根気よく探し続けることが大事だと思います。

企業の知財部に移る

また、事務所に移る以外にも、企業の知財部に移ることが考えられます。特許技術者や特許事務員の方が企業の知財部に移動することは珍しいと思いますが、弁理士の資格保有者であれば、即戦力として優遇されると思います。

ブラックな特許事務所ってあるの?

ブラックな事務所の特徴

いわゆるブラックな特許事務所が存在していると思います。ブラックな特許事務所とは、ノルマが多い、パワハラがある、サービス残業がある等の特許事務所のことをいいます。

ブラックかどうかは実際に事務所に入ってみないと分からないと思いますが、転職サイトの口コミを参考にしたり、面接の際に事務所の雰囲気を見て判断するくらいしかないと思います。

まとめ

特許事務所の就職について述べてきましたがいかがでしたでしょうか?

特許事務所を辞めたくなる原因とその対処法を述べてきました。それでも改善されない場合は、転職も他の職種と比べてしやすいと思いますのでハードルはそんなに高くないものと思われます。

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