士業の難易度を徹底比較!8士業をランキング形式で紹介します!

「士業って、難しい?稼げるの?」

知っているようで意外と知らない「士業」。じつは「サムライ業」とも呼ばれています。

国家資格の士業と聞くと、「高難易度で稼げる職業」というイメージを思い浮かべる方も多いでしょう。

その中でも、「弁護士」や「司法書士」は高難易度で知られています。

ですが、資格の難易度は?平均年収は?そもそもどんな仕事してるの?と聞かれても、答えに詰まってしまう方が多いのではないでしょうか?

そこで今回は、士業の難易度をもとに、年収や仕事内容について紹介します。

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8士業の難易度をランキングで紹介!

2021年の資格合格率をもとに、筆者が独自に8士業の難易度をランキング形式にまとめました。

順位資格合格率受験者数合格者数ひとことで言うとどんな職業?
1弁護士41.5%3,424人1421人「法律」の専門家
2司法書士5.1%11,925人613人「相続、遺産手続き」の専門家
3弁理士6.1%3,248人199人「知的財産」の専門家
4社会保険労務士7.9%37,306人2,937人「人事、労務」の専門家
5税理士18.8%27,299人5,139人「税務」の専門家
6土地家屋調査士10.5%3,859人404人「不動産登記」の専門家
7行政書士11.2%47,870人5,353人「公的書類作成」の専門家
8海事代理士55.3%302人167人「海の法律」の専門家
参考:STUDYing資格の学校TACJQOSAGAROOT

【補足】合格率の近い資格は「受験者数」の多い方を上位に設定しています。また弁護士、税理士はほかの資格より試験範囲が膨大で「合格率が高い=難易度が低い」とはならない為、口コミなどを参考にランキングを設定しています。

弁護士、司法書士、税理士そして弁理士。聞き馴染みのある士業はさすがに高難易度です。

資格の取得には長期的な学習計画を立てる必要があるでしょう。

ちなみに、国家資格の士業の中でも、職務上の請求権が認められているものを「8士業」といいます。

職務上の請求権とは、戸籍や住民票などの個人情報を依頼者に代わって請求することができる権利のこと。

個人情報を請求できる、という点が他の士業との大きな違いです。

合格に必要な勉強時間は?

資格の難易度が分かりやすく見えるポイントのひとつが、勉強時間。一般的には、それぞれの資格取得に以下の勉強時間が必要だと言われています。

順位職業勉強時間の目安
1弁護士3,000〜8,000時間
2司法書士3,000時間
3弁理士3,000時間
4税理士3,000時間
5土地家屋調査士1,000〜1,500時間
6社会保険労務士1,000時間
7行政書士500〜800時間
8海事代理士500時間

勉強時間には個人差がありますが、1,000時間を超えるものが多く目に付きます。中でも弁護士の勉強時間が頭一つ飛び抜けていますね。

難易度が高いと年収も上がる?気になる平均年収は?

難易度が高い士業ほど年収も上がるのでしょうか?

筆者は、勉強時間が長くなるなら「見返り(年収)が欲しい!」と思ってしまいます。

気になる平均年収も紹介します。

8士業の平均年収は?

8士業の平均的な年収がどれくらいになるか想像するのは難しいですよね。そこで、「1年未満の基本給の平均額」をランキングで紹介します。

順位職業1年未満の基本給の平均額
1税理士5,753,319円
2弁理士4,872,451円
3弁護士4,657,283円
4社会保険労務士3,709,875円
5行政書士3,411,667円
6土地家屋調査士3,598,735円
7司法書士3,173,261円
8海事代理士データなし
参考:indeed「給与調査

なおこれらは基本給の平均額となるため、「成功報酬による収入」は加味されていません。また、海事代理士はほとんどの方が兼業としているため、データが取れていない状況です。

結果だけを見ると、難易度の高い弁護士の金額が低く感じるでしょう。ですが、営業で新規顧客を獲得したり、成功報酬を得たりすることで年収も変わっていきます。

独立開業すると年収も上がる?

どの士業にもいえることですが、独立開業すると年収の上限はドンドン上がっていきます

独立開業した弁護士や税理士の中には年収1億円を超える人も。

上限だけを見ると夢が広がりますが、下限の金額も下がっていることを見逃してはいけません。年収が100万円未満になるなど、企業に勤務していたときの年収を下回る方もいるのが現状です。

独立開業後は士業のスキルだけではなく、仕事を確保するための営業力も必要になります。

そもそも8士業ってなに?

ここでは、8士業の仕事内容についてひとつずつ解説します。

弁護士

法律の専門家といえば「弁護士」。

ドラマや映画でも取り上げられることが多く、一番知名度の高い士業です。

事件や紛争の際に、法律の専門家という立場から適切な対処方法や解決策を助言します。

(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

引用元:弁護士法「第一章第一条」

【弁護士のおもな仕事内容】

  • 被疑者・被告人を擁護する弁護人
  • 裁判手続きの代理人
  • 法律相談のアドバイス
  • 法律に関する書類作成

弁護士のやりがいは「困っている人を助けられる」ことに尽きるでしょう。

弁理士

「弁理士」とは、知的財産の専門家を指す職業。

知的財産とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物のことをいいます。たとえば、よく知られている特許などの発明品だけではなく、漫画やアニメなど、私たちの身近にあるモノも知的財産の一部です。

依頼者の知的財産の権利を守り、適切な運用の助言をします。

(弁理士の使命)
第一条 弁理士は、知的財産(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産をいう。以下この条において同じ。)に関する専門家として、知的財産権(同条第二項に規定する知的財産権をいう。)の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。

引用元:弁理士法「第一章第一条」

【弁理士のおもな仕事内容】

  • 知的財産権の取得
  • 知的財産権の紛争解決
  • コンサルティング業務

SNSの普及に伴い、著作権や商標権でトラブルに巻き込まれるケースも増えてきました。近年だと「バズレシピ」という言葉を第三者が勝手に商標登録したことが、ニュースになっています。

司法書士

相続、遺産手続きの専門家といえば「司法書士」です。相続対策として遺言書の作成も行います。不動産登記や商業登記の申請も大事な業務のひとつです。

(司法書士の使命)
第一条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

引用元:司法書士法「第一章第一条」

【司法書士のおもな仕事内容】

  • 不動産・商業登記
  • 相続書類の作成
  • 簡易裁判所での訴訟代理人
  • 成年後見人

マイホームを建てたときの不動産登記や相続に伴う書類作成など、私たちの生活のあらゆる局面でお世話になる士業です。

行政書士

公的書類の作成なら「行政書士」です。前述の司法書士と違い、行政書士は役所に提出する書類作成を行います。

(業務)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

引用元:行政書士法「第一章第一条の二」

【行政書士のおもな仕事内容】

  • 契約書の作成
  • 相続書類の作成
  • 日本国籍の取得手続き
  • 自動車の登録業務
  • 官公署への許可申請

行政書士の仕事は多岐に渡ります。専門性に特化していくことで独自の強みを生かしていける士業です。

税理士

税務のことなら「税理士」。所得税や相続税などの手続きを代理で行います。法人税の申告やM&Aなど、法人に対しても助言や支援を行うのが特徴です。

(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

引用元:税理士法「第一章第一条」

【税理士のおもな仕事内容】

  • 税務代理申請
  • 税務書類の作成
  • コンサルティング業務

法人や個人への節税対策のアドバイスや確定申告の手続きなど、活躍の場は少なくありません。

社会保険労務士

人事、労務の専門家といえば「社会保険労務士(以下、社労士)」。労働保険や社会保険など公的な保険制度の業務全般を行います。人事、労務のアドバイザーとして活躍する方も少なくありません。

社労士は、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。

引用元:全国社会保険労務士会連合会「社労士とは」

【社労士のおもな仕事内容】

  • 労働、社会保険の書類作成、届出業務
  • 給与や退職金に関する手続きや相談
  • 労働トラブルの相談
  • 人事の手続きや相談

労働者と経営者の双方に対して、良きアドバイザーとなれる社労士。労働状況を改善していくことで、やりがいを感じる方も多いでしょう。

土地家屋調査士

不動産登記の専門家といえば「土地家屋調査士」です。あまり聞き馴染みのない士業ではないでしょうか。不動産登記に記されている「大きさ」や「形」といった情報を担当するのが土地家屋調査士です。

(土地家屋調査士の使命)
第一条 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百二十三条第一号に規定する筆界をいう。第三条第一項第七号及び第二十五条第二項において同じ。)を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

引用元:土地家屋調査士法「第一条第一条」

【土地家屋調査士のおもな仕事内容】

  • 不動産の調査や測量
  • 表示に関する登記の代理申請
  • 土地の境界によるトラブルの訴訟手続き

不動産の測量や登記の手続き、さらには土地のトラブルまで対応できるのが土地家屋調査士の魅力です。土地の相続トラブルに巻き込まれないように早めに相談しましょう。

海事代理士

海事手続きの専門家といえば「海事代理士」です。海事とは、海上に関する事柄のことをいいます。たとえば、船舶の売買や相続、建造などの手続きが該当します。

(業務)
第一条 海事代理士は、他人の委託により、別表第一に定める行政機関に対し、別表第二に定める法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)の作成をすることを業とする。

引用元:海事代理士法「第一章第一条」

【海事代理士のおもな仕事内容】

  • 船舶の売買や相続、廃船の登記手続き
  • 船員の雇用や海技資格の更新手続き
  • 海事法務の代理手続き

仕事内容からもイメージできますが、まさに「海の行政書士」と呼ばれるような職業です。海や船に興味がある人にはおすすめの士業といえるでしょう。

それ以外の士業といえば?【10士業】

8士業以外にも専門性が高く、高難易度の士業を紹介します。

  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 不動産鑑定士

海事代理士を除いた7士業に上記を加えたものが「10士業」と呼ばれるものです。

まずは、気になる難易度から紹介します。こちらも合格率をもとに、筆者が独自にランキングにしています。

順位資格合格率受験者数合格者数ひとことで言うとどんな職業?
1公認会計士9.6%14,192人1,360人「監査、会計」の専門家
2中小企業診断士6.6%16,057人5,839人中小企業の経営コンサルティング
3不動産鑑定士36.3%1,709人621人不動産の鑑定士
参考:STUDYing資格の学校TAC公認会計士ナビ

合格率の高い公認会計士を難易度の上位に置いている理由が勉強時間です。勉強時間も資格の難易度を図る材料のひとつですね。

順位職業勉強時間の目安
1公認会計士4,000時間
2不動産鑑定士2,000〜4,000時間
3中小企業診断士1,000時間

最後に1年未満の基本給の平均額を紹介します。公認会計士、不動産鑑定士はともに、1年目からの基本給が高い結果になりました。

順位職業1年未満の基本給の平均額
1公認会計士6,394,935円
2不動産鑑定士6,015,184円
3中小企業診断士3,022,185円
参考:indeed「給与調査

それでは、3士業についてもひとつずつ解説していきます。

公認会計士

監査や会計の専門家といえば「公認会計士」。独占業務に「上場企業の会計監査」があるのが特徴です。つねに数字に向き合うことが求められます。

(公認会計士の使命)
第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

引用元:公認会計士法「第一章第一条」

【公認会計士のおもな仕事内容】

  • 会計監査
  • 財務の代理業務
  • コンサルティング業務

弁護士と並ぶほどの高難易度の士業。それだけにやりがいも大きいです。

中小企業診断士

中小企業の経営コンサルティングといえば「中小企業診断士」です。経営コンサルティングとしては唯一の国家資格として知られています。

(2)中小企業診断士の業務とその役割について
 中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役、また、専門的知識を活用しての中小企業施策の適切な活用支援等幅広い活動が求められています。

引用元:中小企業診断協会「中小企業診断士ってなに?」

【中小企業診断士のおもな仕事内容】

  • 企業の診断、助言
  • 講演活動
  • 執筆活動

経営コンサルティングは中小企業を支える重要な仕事。そして、講演や執筆など幅広い仕事に関わることができるのも魅力のひとつです。

不動産鑑定士

不動産の価値を相談するなら「不動産鑑定士」です。不動産の鑑定をするだけではなく、正しく運用するためのアドバイザーとしても活躍しています。

不動産鑑定士はさまざまな分野で活躍しています。国や都道府県が土地の適正な 価格をー般に公表するための、地価公示や地価調査の制度をはじめとして、 公共用地の取得、相続税標準地の評価、固定資産税標準宅地の評価、裁判上の評価、会社の合併時の資産評価ならびに現物出資の評価、さらには、不動産に関するコンサルティング等、広く公共団体や民間の求めに応じて不動産鑑定士が業務を行っています。 不動産についての専門家、「不動産鑑定士」はあなたの身近で活躍し、 あなたの不動産の良き相談相手なのです。

引用元:日本不動産鑑定士協会連合会「不動産鑑定士とは?」

【不動産鑑定士のおもな仕事内容】

  • 不動産鑑定・評価
  • コンサルティング業務

不動産鑑定士の活躍の場は不動産業界だけではなく、金融業界や国・地方自治体と幅広いのが特徴。宅建士とのダブルライセンスで不動産のスペシャリストを目指す方も少なくありません。

士業は斜陽産業?将来、仕事はあるのか

「士業は将来、仕事がなくなる?」

ネットで検索するとよく目にするキーワードですが、筆者は士業の仕事が無くなる可能性は低いと考えます。

近年、AIの発展により士業の仕事の一部をAIが代替し始めています。「AIに仕事を奪われる」と言われていますが、AIでは代替できない業務も当然あります。

それは、クライアントの良き専門家アドバイザーという立場。クライアントに寄り添った助言はAIでは難しいでしょう。

まとめ

士業の難易度についてランキング形式で紹介しました。

今回紹介した8士業(10士業)はいずれも高難易度のものばかりです。専門性が高いので、独立開業で年収UPを目指す方も少なくありません。

クライアントから感謝されるコンサルティング業務にやりがいを感じる方も多いでしょう。

士業に興味がある方は、長期的な学習計画を立てて資格取得へ挑戦しましょう。

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