株式会社ZOZOは知財もすごい!ソウゾウのナナメウエを守る知的財産部にインタビュー

知的財産はメーカーや、キャラクタービジネスを展開する企業などに関わる話と思うかもしれません。

ですがファッションEC「ZOZOTOWN」などを運営する株式会社ZOZOも、知財面がすごいぞという噂を聞きつけました!

そこで今回は株式会社ZOZOの知的財産部に取材。詳しいお話を伺ってきました。

<今回お話を伺った方>

コーポレート本部 知的財産部 ディレクター

森田 泰弘氏

株式会社ZOZOってどんな会社?ZOZOTOWNのほかに何している?

――早速ですが、株式会社ZOZOはどんな事業を行っている会社ですか?

ファッションEC「ZOZOTOWN」とファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」の運営を中心に、「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」という経営戦略のもと、ファッション×テクノロジーを強みにしたサービスを展開している会社。それが私たち株式会社ZOZOです。

当社独自の計測技術を活用した計測ツール「ZOZOSUIT」「ZOZOMAT」「ZOZOGLASS」の提供や超パーソナルスタイリング体験施設「niaulab by ZOZO」の運営、「ZOZOMO」や広告事業などのBtoB向けサービスの提供などにも取り組んでいます。

ZOZOにとっての知的財産とは

――ZOZOTOWN以外にも、様々なサービスを展開されているんですね!

――ではZOZOにおいて、知的財産はどんな役割を担う存在なのでしょう

弊社には、ZOZOらしさを表す3つの言葉、というものがあります。

それは「ソウゾウのナナメウエ、日々進歩、愛」です。

そのなかで特に「ソウゾウのナナメウエ」の発想という部分に知的財産が大きく関わってきていると考えていて、「ソウゾウのナナメウエ」から生まれた技術を保護して、ビジネスの成長を支える役割を担っているのが知的財産だと考えています。

――そうなると、知財の浸透度も全社的に高そうですね

そうですね、知財の浸透度は全社的にかなり高いと実感しています!

各サービスの責任者や担当者などと常にコミュニケーションを取って、やっぱり事業を成長させるために知財は必要なんだということを、事業部サイドのみなさんに意識していただけるよう努めてきました。

おかげさまで、知的財産部設立当初はこちらからお声がけをすることが多かったのですが、今では事業部の方々から××について知的財産部に相談したいと連絡いただくシチュエーションがかなり増えました。

知財でソウゾウのナナメウエの発想を保護する!具体的な事例を聞きました

――これまでの知的財産部の活動のなかで、印象に残っている出来事はありますか?

ZOZOTOWNは、「ネットで服を買うこと」が当たり前ではなかった時代に誕生し、現在では、当社独自の計測技術やレコメンド技術など、”ソウゾウのナナメウエ”の発想から生まれたテクノロジーを活用したサービスへと進化しています。

こうした”ソウゾウのナナメウエ”の発想から生まれたサービスを守るために取り組んだ、ZOZOTOWNの偽サイトを大量に撲滅した件と、先ほど触れたリアル店舗出店に際しての意匠権による保護の件は、とても印象に残っています。

2年で約700件を撲滅。偽サイト対策について

――ではまず偽サイト対策について伺いたいと思います。偽サイト対策として、どんなことをしたのですか?

一般的に偽サイト対策はいくつか方法がありますが、ZOZOの知的財産部は、偽サイトのコンテンツを預かっているサーバーを管理している会社に「これは弊社の知的財産を侵害する悪質なサイトなのでテイクダウンしてください」と申請することで対応をしています。

じゃあ偽サイトはどう見つけるかというと、事業部や、時にはお客様から情報をいただくことがあります。その後は外部に調査を依頼し、見つけた偽サイトのコンテンツやサイト登録者などをもとに更なる偽サイトがないか探します。

そうして調べたものを確認し、これはテイクダウンするべきとなったら手続きに進み、偽サイトを撲滅していっています。

おかげさまで2年ほどの間に約700件もの偽サイトを撲滅することができました。

――2年で700件!それほど効率よく対策できたのはどんな理由が?

ちょうど知的財産部でより手広い業務ができるようになった時期であり、かつコロナ禍のタイミングで偽サイトが増えていたこともあって、短期間で多くの偽サイトを撲滅できたと思っています。

先ほどお話しした手法なら、1件偽サイトを見つけると芋づる式に他のサイトも見つかるのも一因かと思います。

――今後の偽サイト対策の展望や課題があれば、教えてください!

正直、偽サイト対策はいたちごっこです。

相手は手を変え品を変え偽サイトを立ち上げてくるので、我々も常に監視をしなければいけません。とはいえリソースは有限なので、情報システム部門に協力してもらい自動で偽サイトを検出するツールを内製し、よりスピーディーに対処ができるようにしました。

偽サイトはZOZOTOWNのブランドを毀損するだけでなく、消費者の皆様に損害を与えてしまいます。お客様に安心して使っていただけるよう、スピーディーに対応することは意識的に行っています。

ただ最近は、手口が巧妙化して新しい対応が求められる場面が増えました。SNS広告を悪用し、広告上では「ZOZOTOWNでこの商品が安くなっている」と謳いながら、そこから移動した購入サイトはZOZOの知的財産を侵害するようなものはない偽サイトになっていて、お客様は広告を信じ購入してしまう例などがあります。

こういった例は、SNS広告に再現性がないため情報をもらっても追跡が難しいです。

ですからグループ企業やグループ外の企業とも情報交換をし、対策を進めているところです。

リアル店舗「niaulab by ZOZO」を守る意匠権について

――内装の意匠は比較的新しい権利ですが、出願時はどんなことが課題としてありましたか?

超パーソナルスタイリング体験施設「niaulab by ZOZO」をはじめるとき、もちろん知的財産権でしっかり保護をしました。サービス名などは商標権を、店舗内で使うAI技術は特許権を取得しましたが、肝心のサービスはスタイリストなど、つまり人が中心になって提供するサービスなので特許権で保護するのが難しかったんです。

ですが、このサービスは我々からしても世の中から見ても新しいもので、なんとかして保護ができないかと考えました。事業部ともいろいろ相談する中で、「試着室に飛び込む」という内装コンセプトに基づく内装上の工夫を上手く押せば、内装の意匠として権利化できるのではないかと考えました。

権利化までは事業部とかなり細かく相談したのを覚えています。

――権利化のために工夫したことはありますか?

内装はどうしても建物の形に左右されてしまい、権利範囲が影響を受けてしまいます。

ですから権利範囲が影響を受けないためには、どこを意匠権として押さえればいいか部内でもかなり議論しました。また内装の意匠は比較的新しい権利ということで、我々も出願経験が乏しかったため、すでに出願されている他社の事例もかなり調べて分析しました。

ZOZOの知的財産部ってどんな部署?

――ではそんなZOZOの知的財産部、具体的にどんな仕事を担っているのですか?

グループ企業や海外拠点も含めた、ZOZOグループ全体の知財業務を担っているのが、私たち株式会社ZOZOの知的財産部です。

部内は、特許・意匠を担当する特許ブロックと商標・著作権などを担当する商標ブロックとに分かれていて、事業ごとに担当がつくスタイルを取っています。

現在弊社では商標担当者を募集しているのですが、商標ブロックは、商標の権利化や調査、権利の活用がメインの業務です。

例えば、新サービスのように社内で新しいことをやろうとなったとき事業部から相談を受けたり、自分たちで積極的に情報収集したりして、保護するべきものがないか熱心に探しています。事業部から「どんな用途で商標を使うか?」などのヒアリングをしたうえで商標調査をし、商標権による保護が必要だと部内で判断されたら権利化を進めていきます。時にはサービスの海外展開も考えて調査・権利化をすることもあります。

それから、コーポレートブランドやサービスブランドを保護するのも我々の重要な役目の一つです。先ほどお話しした偽サイト対策などは、正に我々のビジネスを守る活動です。

――ズバリ、ZOZOの知的財産部ならではの特徴は?

弊社はZOZOらしさに「ソウゾウのナナメウエ」を掲げていることもあり、新しいサービスや先端テクノロジーが多く生まれる環境です。ZOZOTOWNやWEARが有名な会社ではありますが、新規事業も多く考えられ生まれている会社なので、幅広い業務にスピード感をもって取り組めるのが面白い部分だと思います。

また、調査から権利化まで全ての業務に携われるのはもちろん、事業部側の担当者と密に連携しながら事業を一緒に育てるような仕事ができるのも特徴的かと思います。

コミュニケーションもかなり盛んです。事業部とのコミュニケーションを繰り返すことで、その事業やサービスの将来像を探ることが知財の業務にとって非常に大切だと考えていますし、部内でもディスカッションを頻繁にしています。

――お話を伺っていると、部署間の連携などもかなり活発なのですね

そうですね、ベンチャー企業と大企業の中間のようなカルチャーで、フラットな雰囲気です。

例えば部署の今後の方針を決めるときは、役職やスキル、経験にかかわらずみんなでディスカッションをして考えていきます。

また社外とのコミュニケーションが活発なのも、ZOZO知的財産部の特徴です!

一般的な知的財産部は、外部の会社・他社の知的財産部とのコミュニケーションに消極的なことが多いと思います。

しかし我々はその逆で、他社の知的財産部とも積極的にコミュニケーションをとりながら同じ悩みを一緒に解決していきたいと考えています。もしご興味のある知財担当の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

別部署から見た知的財産部の印象も教えてもらいました!

――広報からみた知的財産部はどんな印象ですか?

知財と聞くと堅苦しそうなイメージがありましたが、ZOZOの知的財産部のみなさんはコミュニケーションが活発で別部署との交流を大切にされていることもあり、知財に対するハードルが下がりました。

それから皆さんいい方で、一緒に仕事をするのが楽しいです。

広報も知財も、事業部と一緒に伴走することが多いのですが、知的財産部の方は攻めと守りのバランスをとても意識されているなと感じます。決して事業にブレーキをかけるだけでなく、事業に寄り添ってサービスを成長させる意識が強い組織なのかなと思っています。

――ありがとうございます!

最後にひとこと、メッセージをお願いします!

ZOZOの知的財産部は、知財戦略を推進していくことで、事業の成長に貢献しながら、自分たちも成長できる組織です。

幅広い業務にスピード感をもって取り組める環境でもありますから、社員目線で見てもワクワクしながら働ける組織でもあります。
もし「ZOZOの知的財産部って面白そう!」「自分も事業の成長に貢献する仕事がしたい!」と思ってくださる方がいましたら、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?

一緒にZOZOの未来を作っていきましょう!

<現在、商標担当者を募集中!>

現在、株式会社ZOZOでは商標担当者の求人を募集中。

ZOZOで働いてみたい!という方はぜひこちらの求人詳細(株式会社ZOZO HP)をチェックしてみてください。