失敗しやすい?弁理士の独立を成功させる基本のポイント

弁理士は独立しやすいか?

結論として、弁理士は独立しやすいといえます。現在、日本国内に弁理士は約12,000人いますが、このうちの3,500人以上(弁理士の3割以上)が、独立している方になります。

こちらの資料の「8.主たる事務所における弁理士人数」の「弁理士数1人」のところが該当します)

弁理士が独立しやすい理由として、弁理士の主な仕事である知的財産権(特許権、商標権など)の手続代理は、参入障壁の高い業務であることが挙げられます。

知的財産権の手続代理は、弁理士の専権業務であり、弁理士でない者が業務を行うことは法律で禁止されています。そのため知的財産権の手続代理は、同業者での競争が比較的少ない仕事なのです。

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独立の成功例

独立の成功例としては、以下の2つのパターンがあります。一定の収入に、さらなる成功や自由時間がプラスされている形ですね。

  1. 多くの仕事を得ることで、事務所の規模を大きくする
  2. 仕事の量は個人で対応できる程度であるが、時間を自由に使うことができる

1.の例として、現在では年間100件程の国内特許出願と、外国特許出願を行っている特許事務所の所長弁理士A氏が挙げられます。ちなみにA氏は、特許事務所に7~8年勤務した後に独立しています。

この特許事務所では、多くの仕事をこなすために従業員を雇用しているため、知的財産に関する実務の他に、経営者としての業務も行う必要があります。

2.の例として、特許事務所に12~13年勤務した後に独立し、現在では年間20件程の特許出願をしている特許事務所の所長弁理士B氏が挙げられます。

B氏は、事務所の収益と個人で対応できる業務量とのバランスを考慮しつつ、事務所勤めの時よりも自由な時間を多く得る、ということを実現しています。

独立の失敗例

よくある独立の失敗例が、特許事務所を立ち上げたものの仕事が少なかった、というケースです。

筆者の知り合いにも、独立したものの、十分な量の仕事がなかったために特許事務所を閉じた、という方がいます。

このようになる原因としては、営業活動が不十分であることが多いです。ただ営業活動は独立して初めてする、という弁理士も多いため、営業については独立する際に気をつけなくてはいけません。

ただし、独立がうまくいかなかった場合でも、他の特許事務所に転職し、勤務弁理士として働くことは可能です。

開業した弁理士の年収

開業した弁理士の年収は、上述の1、2のパターン別に大きく異なります。1.のパターンなら年収が2,000万円以上になることも珍しくありません。

一方2.のパターンに該当する場合、年収は600~1,000万円となることが多いです。勤務弁理士の年収と大差ないですが、雇われの弁理士より自由な時間が増える、というメリットがあります。

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独立が不安なら…まずパートナー弁理士を目指すのもアリ!

独立には様々なハードルがあるので、開業するか悩む方も多いことでしょう。

そんなときはぜひ、パートナー弁理士に転職する選択肢も検討してみてください。パートナー弁理士なら将来、特許事務所を引き継ぐことも可能です。

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独立までのルート・準備

独立に際しては、特許事務所に勤務した後に独立する、というのが一般的です。特許事務所の勤務年数については短い方で3,4年、長い方で20年程度です。

ただ、特許権の満了は出願から20年であり、商標権は10年毎の更新によって権利が存続します。そのため60歳くらいになってから独立した場合には、出願した特許や商標を権利が消滅するまで担当することが困難となります。したがって、道立に際しては、50歳までに独立する方が多いです。

独立の準備としてはまず、自宅を事務所にするのか、それとも賃貸にするのか、という問題があります。レンタルオフィスの使用は、費用面で優れているものの、クライアントの技術情報などに対する守秘義務を守れるか、についてより注意を払う必要があります。

その他にも、独立の準備として、出願ソフトの導入や営業資料(ホームページやパンフレットなど)の作成などがあります。

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所長弁理士と勤務弁理士との違い

所長弁理士と勤務弁理士との違いとしては、勤務時間、事務手続、営業活動があります。また、所長弁理士の場合、利益との関係で仕事を受任する、または受任しない、という判断が要求されます。

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勤務時間は自由

所長弁理士の場合、既定の労働時間という制限はありません。その代わりに、残業という概念もありません。勤務時間も原則自由です。

ただし近年では、フレックス制度や在宅勤務が増えていることから、勤務弁理士でも勤務時間に融通の利く事務所が多くなっています。

事務手続が多い

勤務弁理士の場合、業務の大半は、特許や商標などの出願書類作成や、拒絶理由通知に対する意見書・補正書の作成であるため、事務手続きをすることはほとんどありません。

一方で所長弁理士になると、出願書類や意見書・補正書の作成以外の業務、すなわち様々な事務手続きをすることになります。

所長弁理士が行う事務手続については、個人事務所であるか、従業員を雇用している事務所であるかで、異なります。

個人事務所なら、以下のような事務手続きを自分で行わなければなりません。

  • 出願書類や意見書・補正書を特許庁に提出する手続
  • それ以外の書類(委任状、譲渡証など)の作成および提出手続
  • 特許庁への納付手続
  • 請求書の発行といった経理手続き

従業員を雇用している事務所の場合、これらの手続の一部については、事務職員に対応してもらえますが、社会保険の手続など、雇用主としての事務手続きが追加で生じます。

営業活動は必須

上述したように、個人事務所なら営業活動は必須です。

特許や商標などの出願業務は、コストをかけてでも知的財産権を取得したい、というクライアントのニーズがなければ生じません。ですから営業活動がすぐに受任に結びつくことはあまりないです。

しかし、事務所の名前と強みをクライアントに覚えてもらわないことには、新規の受任は得られません

営業活動としては、ホームページやパンフレットの作成、飛び込みでのクライアント訪問、知的財産権に関するセミナーの開催や講師などがあります。

受ける仕事/受けない仕事

所長弁理士なら、時間や金銭のコストとの関係で仕事を受ける、受けないという判断をする機会が多くなります。

勤務弁理士の場合、仕事を受けるかどうかを判断をする機会はほとんどありません。

なお一般的に、大企業の案件は中小企業の案件より短時間で処理することができます。これは大企業になると、取得したい権利について社内で纏めた後に、特許事務所に依頼するためです。

ただしその分、大企業の案件は中小企業の案件よりも低額になりがちです。

事務所の規模を拡大する?しない?

特許事務所の運営が軌道に乗り、ある程度の仕事量を確保している。このような状況になると、次は事務所の規模を拡大するか、それとも個人での事務所を続けるか、という選択が必要になります。

ある程度自由な生活をしつつ収入を得たい、あるいは書類作成、特許庁への手続、クライアントへの請求などを個人で完結させたい、という方は1人での事務所運営を続けることが多いです。

一方で、より多くの収入を得たいという方は、従業員を雇い入れるなどして事務所の規模を拡大していきましょう。

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