特許の出願件数&弁理士の所属数ランキング!【2022年版】

今回は知財業界についてのランキングをご紹介します。この記事で取り上げるランキングは以下の通り。転職時に知りたいようなテーマから、ちょっと面白いテーマまで、様々な観点から順位表を作成しました。

  • 所属弁理士の人数ランキング(特許事務所編)
  • 所属弁理士の人数ランキング(企業編)
  • 売上高トップ10企業の出願件数
  • PCT出願(国際出願)数ランキング(国別編)
  • PCT出願(国際出願)数ランキング(企業別編)
  • 資金調達額トップ10スタートアップの出願件数

それぞれのランキングは、この下にある「目次」からジャンプできるので、興味のある箇所をぜひご覧ください!

所属弁理士の人数ランキング【特許事務所編】

まずは2022年の所属弁理士数が多い特許事務所トップ20をご紹介します。

順位事務所名弁理士人数所在地特許公開件数
1特許業務法人志賀国際特許事務所122東京都11,572
2創英国際特許法律事務所(求人情報)114東京都3,160
3青山特許事務所104大阪府3,651
4TMI総合法律事務所88東京都2,638
5特許業務法人深見特許事務所87大阪府2,709
6青和特許法律事務所85東京都3,393
7特許業務法人酒井国際特許事務所84東京都5,839
8杉村萬国特許法律事務所82東京都2,392
9特許業務法人太陽国際特許事務所77東京都3,185
10中村合同特許法律事務所77東京都2,864
11正林国際特許商標事務所63東京都1,813
12ユアサハラ法律特許事務所62東京都2,124
13伊東国際特許事務所61東京都5,194
14協和特許法律事務所54東京都2,365
15芦田・木村国際特許事務所53東京都807
16特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK48大阪府1,573
17三好内外国特許事務所47東京都1,378
18特許業務法人秀和特許事務所(求人情報)45東京都1,515
19特許業務法人平木国際特許事務所40東京都1,524
20特許業務法人三枝国際特許事務所38大阪府1,192

※特許公開数は実案を除外した数字です。

2022年度の公開された特許数としては、特許業務法人志賀国際特許事務所が圧倒的な件数で他を突き放した様相となっています。件数の裏には、支えるスタッフの存在も重要であり、同事務所の2023年7月1日時点でのスタッフ数は派遣社員含めて780名となっています。事務所での就業を考えられる際はスタッフの総数という観点でも確認されるとよいと思われます。

また大手事務所は、基本的に全分野を網羅していますが、分野別での比率や訴訟経験、最近流行のIPランドスケープなどの分析関連業務等の状況についても確認されることをおすすめいたします。

地理的には、圧倒的に東京を本拠地としている事務所が多いです。特許庁も東京にありますし、クライアントの多さという点でも東京に集まりやすい傾向はあるかと思われます。

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所属弁理士の人数ランキング【企業編】

続いては、2022年の企業内弁理士の人数に基づくランキングを見ていきます。

順位企業名弁理士人数特許出願件数意匠出願件数商標出願件数
1三菱電機株式会社6448142146
2パナソニックIPマネジメント株式会社594412260
3パナソニック株式会社54171
4株式会社日立製作所53681122
5三菱重工業株式会社2858679
6東レ株式会社28202434
7日本電気株式会社283722721
8旭化成株式会社26163532
9住友電気工業株式会社25120176
10キヤノン株式会社23783244
11花王株式会社2319961552
12京セラ株式会社231555818
13日本たばこ産業株式会社2171747
14出光興産株式会社2029029
15中外製薬株式会社(求人情報)2061017
16株式会社ニコン19162412
17第一三共株式会社1924138
18エーザイ株式会社18000
19トヨタ自動車株式会社172168163
20武田薬品工業株式会社1744017

2022年の特許出願については、まだ未公開のものが多くあるため、評価は難しいところです。その点、意匠と商標については公開情報が特許より早く出るため、リアルタイムの状況がうかがえるところであります。

弁理士の人数に比して、出願件数が伴っていない企業が散見されます。この場合は、子会社の案件を親会社知財部が担当し、権利自体は各子会社に帰属させる戦略をとっているものと思われます。

大企業・多角化経営を行っている企業であるほど、そのような傾向にあると思われます。

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売上高トップ10企業の出願件数

売上高ランキング上位になる企業の出願件数をまとめました。なおデータはすべて2022年の内容です。

順位企業名売上高(百万円)特許出願件数意匠出願件数商標出願件数
1トヨタ自動車37,154,2982168163
2三菱商事21,571,973104
3本田技研16,907,7251068534
4ENEOS15,016,5540017
5三井物産14,306,4020018
6伊藤忠商事13,945,6331038
7日本電信電話13,136,19432110
8セブン&アイ11,811,303001
9ソニーグループ11,539,8371853221
10日本郵政11,138,5800075

自売上高上位の企業の多くは商社系であり、特許出願の件数よりも商標のほうが多く持たれていることが分かります。また、グループ企業も多くあることから、特許などはそちらのほうが多くあるように思われます。

トヨタやホンダ、ソニーなどの日本を代表するモノづくり企業は当然特許・実用の出願に秀でています。しかし、2022年の出願はまだ非公開のものが多くあることから、実態としてはより特許出願の件数が多くあるでしょう。

日本郵政は、物流から金融まで対応している企業であるため、事業分野の広さから必然的に商標件数も多くなると思われます。

PCT出願(国際出願)数ランキング【国別編】

ここからは国際出願に関するランキングを2つ見ていきます。

まずは2022年の国別のPCT出願件数をご紹介します。

順位国名出願件数
1中国70,015
2アメリカ59,056
3日本50,345
4韓国22,012
5ドイツ17,530
6フランス7,764
7イギリス5,739
8スイス5,367
9スウェーデン4,471
10オランダ4,092

PCT出願国動向としても中国、アメリカ、日本、韓国が上位を占めている点については、特許出願全体の動向と比べても特に違和感はありません。

しかしながら、その下に続くのが欧州各国である点は興味深いところです。ドイツなどは、Volkswagen・Daimler・BMW・BASF・BOSCH・Siemensなどの国際的に活躍する企業も多いことから件数が特に多くなっていると思われます。

PCT出願(国際出願)数ランキング【企業別編】

続いて、2022年においてPCT出願の件数が多い企業トップ10を紹介します。

順位企業名本社所在地出願件数
1ファーウェイ中国7,689
2サムソン電子韓国4,387
3クアルコムアメリカ3,855
4三菱電機日本2,320
5エリクソンスウェーデン2,158
6オッポ中国1,963
7日本電信電話日本1,884
8BOE中国1,884
9LG電子韓国1,793
10パナソニックIPマネジメント日本1,776

企業面で見た場合には、スウェーデンなどは特に特徴的です。エリクソンがスウェーデンの総出願4,471件の半数を担っており、非常に興味深い状況となっています。

改めて、PCT出願とは他国への特許手出願を効率的に行うための手段であり、その出願数の多さを分析すれば、世界でビジネスを行う企業の多さや強さを垣間見ることができます。

資金調達額トップ10スタートアップの出願件数

最後に、スタートアップ企業の知財はどのような状況なのか、まとめました。今回は2023年5月の資金調達額トップ10の企業の特許・商標の出願状況をご紹介します。

順位企業名資金調達額(億円)特許出願件数商標出願件数
1京都フュージョニアリング10512
2クラスター52154
3GITAI Japan4002
4Heartseed2075
5トレードワルツ16.502
6ニーリー1600
7forest1507
8C4U151011
9Hacobu15716
10TRUSTDOCK1561

それぞれの企業概要はこちらの通り。

企業名事業概要設立年
京都フュージョニアリング核融合炉関連技術、装置の研究開発2019
クラスターバーチャルイベントプラットフォーム「cluster」2015
GITAI Japan宇宙用作業ロボット「G1」などの開発2016
HeartseediPS細胞を用いた心筋再生医療の臨床応用2015
トレードワルツブロックチェーンを活用した貿易情報連携プラットフォーム 「TradeWaltz」2020
ニーリーモビリティSaaS 「Park Direct」の提供2013
forest既存の商品やブランドを対象とした、承継・運営・成長支援事業2021
C4U新規ゲノム編集技術の研究開発2018
Hacobu物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション「MOVO」2015
TRUSTDOCKAPI型本人確認サービス 「TRUSTDOCK」2017

基本的に、コロナ以前に発足された企業が出資対象となっています。事業内容としては医療からエネルギー、デジタルまで幅広い分野での企業が名を連ねていますね。

知的財産の活動については、まだまだ微小であるため、上場に向けての価値づけとして知的財産のポートフォリオの拡充を図ってもよいと思われます。

しかしながら、ベンチャー側には知的財産の活動に長けた社員が少ないことをよく見聞きするため、事務所やベンチャーで働きたい知財経験者については、活躍の機会が多くあるかもしれません。

\ベンチャー支援が得意な職場あり/

まとめ

今回は知財業界の様々なランキングを見てきました。

特に所属弁理士数ランキングは、「大手事務所・大手企業に転職したい!」と考えている人はかなり興味が惹かれる内容かと思います。

しかし転職の際に一番重要なのは「自分に合っている職場かどうか」です。取り扱い分野、具体的な仕事内容、職場の雰囲気など、規模以外の面もふまえた上で転職先を選んだほうが、楽しく働けることでしょう。

知財HRでは、求人票とあわせてインタビューを掲載しています(一部除く)。インタビューでは具体的な仕事内容から職場の雰囲気、働きやすさ、求人募集の理由など、転職するときにあらかじめ知っておきたい情報を質問!たくさんのリアルな情報を知ったうえで、求人へ応募できます。

特許事務所・知財部の求人専門サイト「知財HR」

参考

2022年最新|弁理士数に基づく特許事務所・企業ランキング – リーガルジョブマガジン

2022年特許 事務所ランキング | 知財ラボ

附属書(WIPO)

国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2023年1-5月) – MAGAZINE|STARTUP DB

売上高ランキング【株式ランキング】 – みんかぶ(旧みんなの株式)

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat