弁理士としてのキャリア形成について解説します

弁理士のキャリア形成について
弁理士は知的財産権に関する専門家であるため、弁理士のキャリア形成では専門性を高めることが中心になります。
具体的に要求されるものは、技術面、法律面、語学面のスキルアップ。
その一方で、特許事務所と企業とでは、求められる専門性について異なる点があるため、弁理士としてのキャリア形成は、特許事務所の場合と、企業の場合で異なる点があります。
勤務先別にみる弁理士のキャリア
特許事務所の業務は特許・意匠・商標の権利化がメイン業務になります。そのため、大半の特許事務所では、これらの出願業務と中間業務に関連するキャリアが求められます。
一方で企業内弁理士の業務は、調査、出願書類や中間書類のチェックのほか、権利化可能な技術の発掘などがあり、特許事務所よりも対応する業務が多くなります。
そのため企業では、より幅広いスキルアップを伴うキャリアが求められます。
特許事務所でのキャリアアップ
特許事務所でキャリアを積む際に求められるもの・有効なものは大きく3つです。
- 量と質のアップ(実質、技術と法律のスキルアップ)
- コミュニケーション能力の向上
- 語学力。特に英語
大半の特許事務所では、キャリアを積むうえで出願業務・中間業務の質と量のアップが求められます。つまり自分の業務に関連する技術と法律のスキルアップです。
また、特許権や商標権などの権利取得を通じてクライアントが達成したいことを適格に把握した上で、適切な出願書類や補正書・意見書を作成する必要があるため、コミュニケーション能力の向上も求められます。
もし将来的に外国案件を担当したいと考えているなら、語学(特に英語)のスキルを上げ外国案件に繋げることも、キャリア形成の一つとして有効です。
なお弁理士の中には、同業者との差別化を図るためのキャリア形成をしている方もいます。理由は主に、独立開業の際に他の特許事務所との差別化を図るためです。
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パートナー弁理士を目指すとき求められるもの
一般的にパートナー弁理士とは、グループのリーダーとして一定の案件管理・売上確保をしつつ、自らも依頼を処理し己の売上を確保する弁理士を指します。部下の作成した各種書類のチェックも仕事のひとつ。そのためパートナー弁理士の年収は、他の弁理士よりも高くなります。
パートナー弁理士は己の案件のみならず、部下の案件も把握する必要があるので、実質、より多くの案件を処理することが要求されることに。
もしパートナー弁理士を目指すなら、現在のクライアントの技術を深く勉強することがなおさら重要になります。
独立開業をするとき求められるもの
独立開業の場合、勤務時間は自分で決めることができます。また、経営が軌道に乗れば多くの年収を得ることができます。
独立開業をするなら、他の特許事務所との差別化が大きなポイントとなります。この差別化の例としては、
- 専門技術を深く掘り下げる
- 法律のスキルを伸ばす
- 外国語のスキルを伸ばす
- 係争についても対応できるようにする
- 他の資格を取得する
等があります。
また専門分野以外も、幅広く勉強する必要があるのも独立開業ならでは。税金や社会保険のほか、独立当初は自分で出願手続きをすることが多いことから、事務手続の勉強も必要です。
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企業弁理士でのキャリア
企業弁理士は、出願書類や補正書・意見書のチェックの他、他社の動向チェックや発掘業務も行うことが多いです。
なかでも発掘業務は開発部門と一緒に業務をすることが多いため、開発部門の方と議論ができるよう、技術スキルやコミュニケーション能力を上げることが重要になります。
また企業によっては、係争や契約に携わることもあるため、法務部や弁護士・弁理士と議論できるように技術面・法律面のスキルを上げることも要求されます。
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“弁理士の専門性”はどうやって高めるか?
弁理士のキャリアアップは、専門性(技術面、法律面、語学面)の向上と密接に関連しています。
また他の弁理士との差別化を図り、専門性の幅を広げることでキャリアへつなげるのも有効です。
専門性を上げるには、そして、専門性の幅を広げ差別化をするためにはどんな方法があるか?紹介します。
技術の勉強
技術の勉強としては、理工系の大学に通ったり、資格試験の勉強をしたりする方法があります。
理工系の大学には夜間大学(東京理科大学など)や通信制大学(秋田大学など)、資格試験の勉強には、例えば機械設計技術者があります。
いずれも、1~2年のあいだ機械や電気、ソフトウェアなどをしっかり学ぶことでキャリアアップにつながるでしょう。
法律や他の分野の勉強
法律や経済などをしっかり学ぶことも有効です。こちらも文系大学や社会人大学院で1~2年、きちんと勉強することがキャリアにつながります。
文系大学としては中央大学の通信課程などが、社会人大学院としては一橋ビジネススクールや虎ノ門大学院などがあります。
ダブルライセンス
ダブルライセンスは、独立開業の差別化を図る際、特に有効です。
弁理士とのダブルライセンスとしては、中小企業診断士や弁護士が多いですが、いずれも難関資格であるため、資格取得までに数年かかることが多くなります。
外国語
弁理士の業務において、英語は大半の方が使用しています。
英語のスキルを上げるは資格試験を有効に使うことが重要になりますが、弁理士の使う英語は、技術・法律に特化しているという特徴があります。そのためTOEICよりも、工業英検や知財翻訳検定などがより実務に近い資格となります。
また”他の弁理士との差別化”という観点からは、ドイツ語や中国語も選択肢の一つとなります。
例えばドイツには日本人弁理士が何人か常駐していて、彼らはドイツの案件において強いアドバンテージを有しています。
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特許事務所に勤務している弁理士です。中小企業のクライアントを多く扱っています。特許業務が主ですが、意匠・商標も扱います。