知的財産管理技能検定3級とは?資格取得者が徹底解説します!
「知的財産管理技能検定ってどんな資格?」
「そもそも知的財産ってなに?」
知的財産と聞くと、あまり聞き馴染みがない言葉かもしれません。ですが、特許や著作権と聞くと、誰しも一度は耳にしたことがあると思います。
これが知的財産と呼ばれるものになります。
私たちの身近にはさまざまな知的財産があふれています。
意外と知らない知的財産。
知的財産管理技能検定は、そんな知的財産に関する国家資格です。
では、資格を取るにはどうすればいいのでしょう。本記事では、知的財産管理技能検定3級について、資格保有者が深堀りして解説します。取得を考えている方の参考になれば嬉しいです。
知的財産管理技能検定 3級ってどんな資格?
本検定はもともとは民間資格でしたが、2008年7月に国家資格に認定されました。
1級から3級まであり、3級は知財の基礎が網羅されています。
これから特許や著作権などを学ぶのに適した資格といえます。
下記の内容に当てはまる方は、是非取得を検討してみてください。
知的財産管理技能検定 3級はこんな人におすすめ!
- 企業の知財部・開発部に配属になった → 特許法、実用新案法、意匠法
- SNSで動画や画像をアップしたい → 著作権法
- 起業したい → 商標法
- 農業で収穫物を売りたい → 種苗法
- 特許について興味がある → 特許法、実用新案法
意外と該当する方が多いことに驚くと思います。
ここからは、本検定の内容について詳しく紹介していきます。
知的財産管理技能検定とは
ひとことで言うと、「知財管理のスキルを証明する資格」です。
合格することで知的財産管理技能士になることができます。
主な活動の場としては、企業の知財部で知的財産の管理・活用を行うことです。
似たような資格に弁理士というものがあります。
弁理士は独占業務にあたり、資格を持っていないとできない独占業務が存在します。代表的な独占業務は「知財の手続きを代理で行うこと」です。
こちらの方が知的財産管理技能士よりも専門的で、主な活動の場は特許事務所などになります。弁理士よりも知的財産管理技能士の方が難易度は低く、気軽に挑戦できます。
知的財産管理技能士からのステップアップとして、弁理士やビジネス著作権検定を目指す人が多いのも特徴です。
知的財産管理技能検定は1年に3回(3月、7月、11月)、全国各地で開催されます。
受験資格
3級の受験資格は、「知的財産に関する業務に従事している者または従事しようとしている者」です。つまり、知財管理業務を目指そうとしている人ならだれでも受験することができる資格になります。
知的財産の保護は企業の生命線ともいわれています。企業への活動の場を増やしたいと考える人にはおすすめの資格といえるでしょう。
気になる試験内容と過去の出題傾向
気になる試験内容ですが、試験には学科と実技があります。
実技と聞くと、つい「何をやるの?」と警戒してしまいますが、簡単にいうと「事例問題」なので安心してください。
試験概要は下記のとおりです。
試験内容 | 方式 | 問題数 | 制限時間 |
---|---|---|---|
学科 | マークシート方式(3肢択一式) | 30問 | 45分 |
実技 | 記述方式(事例問題) | 30問 | 45分 |
受験料はそれぞれ5,500円が必要です。
3級の合格率は約70%で、これは国家資格の中でも比較的、高い合格率です。
ただ、合格率が高くても油断は厳禁です。
本検定は出題範囲が広く、勉強や対策を万全にしておかないと不合格になってしまいます。
出題範囲には以下のような項目があります。
- 特許法・実用新案法
- 意匠法
- 商標法
- 著作権法
- 不正競争防止法・独占禁止法など
- 条約
これまでの過去の出題傾向で問題の頻出率が高いのは、特許法・実用新案法と著作権法です。
身近な生活に馴染みやすい項目で、知財の入門編らしい出題傾向といえます。
いずれも20〜30%ほどの割合を占めているので、重点的に取り組むと効率がいいでしょう。
制限時間が45分なので、単純に1問にかけられる時間は1分30秒になります。
とくに実技は問題文が長文です。
出題意図を把握するためには、過去問を重点的に取り組むことがポイントです。
取るとメリットあるの?
知的財産は、知的活動により生み出された財産です。
「発明とか特許とかあまり関係ない」、と思われる方もいるかもしれませんが、知的財産はそれだけではありません。
たとえば、企業のロゴやキャラクター、アパレルのデザイン、漫画など、さまざまなものが知的財産になります。
知的財産の正しい知識を持っている人は貴重な人材です。
3級はその知的財産に関する基礎的な知識を身に付けることができる資格です。
そんな知的財産管理技能検定3級を取得するメリットは2つです。
- 仕事の幅が広がる
- 著作権侵害などのトラブルを回避できる
メリット1:仕事の幅が広がる
知的財産の管理・活用ができる人材は、就職や転職にも有利になります。その活動の場は、企業の知財部や開発部だけではありません。
著作権を扱う、映画制作会社や出版社。意匠権を扱う、アパレルメーカーやデザイン会社。
特許事務所で実務経験を積んで、弁理士に挑戦する方もいます。「仕事の幅」=「自身の可能性」を広げてみてはいかがでしょうか。
メリット2:著作権侵害などのトラブルを未然に回避できる
近年、SNSが普及したことで著作権のトラブルが急増しています。
- なにげなく撮った写真や動画をSNSにアップした
- ネットで見つけた画像を自分のブログに使った
この行為が著作権を侵害する可能性があります。
知っていれば、未然にトラブルを回避できる行動がとれるようになります。
- 著作権者に使ってもいいかどうかを確認する
- 自分で撮った写真やフリー素材のものを使う
本検定は、SNSなどへの不正流用や、違法アップロードに巻き込まれないための知識を得るのにも適しています。
筆者が取ろうと思った理由
私はある部品メーカーの開発部に所属していました。そこで特許を申請する機会があり、知財部の担当の方や特許事務所の弁理士さんと何度か打ち合わせをすることに。
ですが、私から開発の内容を説明しても、相手に意図をきちんと伝えることができませんでした。
結果として、お互いに余分な時間をかけることになってしまいました。
原因は、私が知財のことを理解していないからだったのです。
知識があれば、「必要な情報」や「段取り」を理解することができ、大きな手間を回避することができます。
知財は言葉の使い方を間違えると、大きな問題にも発展すると思い、知財の基礎を学ぶために3級に挑戦することにしました。
学習を進めてみると、知財は決してひとごとでは無く、著作権など身近な議題が多いことに気付かされました。
独学でも取れる?
本検定の学習方法はWEB通信講座と独学の2択になります。
3級は知的財産の入門編ということもあり、独学でも取得可能です。
ここでは、それぞれの学習方法について解説します。
勉強方法①WEB通信講座に申し込む
下記に当てはまる方は、WEB通信講座をおすすめします。
- ひとつ上の2級も同時に学習したい
- 時間が無いので効率的に学びたい
- 独学では続ける自信が無い
WEB通信講座は費用がかかりますが、2級とのセット講座も多く存在します。
2級は3級の内容と共通している項目が多いので、2級の取得も同時に目指す方はWEB通信講座を利用しましょう。
まずは3級だけを考えている方は、独学をおすすめします。
勉強方法②参考書、問題集などで独学
3級は入門編ということもあり、出題範囲が広く、浅い傾向にあります。
2級は3級と比べて、出題範囲がさらに広く、深くなります。
確実に3級を取得してから、2級への知識を深めていく方が学習効率は高くなるでしょう。
独学をする時に準備するものは、テキストと問題集を1冊ずつです。
私も利用した学習本を紹介します。
- 「知的財産管理技能検定 3級公式テキスト」3,300円(知的財産管理協会)
- 「知的財産管理技能検定 3級スピード問題集」1,540円(早稲田経営出版)
法改正も頻繁に行われているので、必ず新しい書籍で勉強を進めましょう。
おすすめの勉強法は、テキストを2〜3回ほど流して読んでから、問題集をメインに進めることです。
不正解になった箇所は、テキストの解説を読み直して少しずつ補完していきましょう。公式HPには、過去3回分の試験問題と解答が公開されています。
少しでも多くの本番の問題形式に慣れておくのがポイントです。知的財産権の発生時期と存続期間などの数字も間違えやすい問題です。数字は一覧表があると覚えやすいです。
ネットやテキストなどから拾ってもいいですが、自分で作ると整理ができるので自作の一覧表を作るのもおすすめです。
勉強時間はどれぐらい必要?
3級の勉強時間は、50〜100時間ほどといわれています。
社会人の方は勉強の時間を確保できるかどうかは重要です。50〜100時間なら無理なく時間を確保できますが、計画性を持って勉強を進めましょう。
3級なら2~3ヵ月前からの準備で間に合います
私は法律に関わる知識はほぼゼロの状態からスタートしたので、2〜3ヵ月前から勉強を開始。
平日1時間、土日2時間の勉強時間を確保することを意識しました。
重要なのは、少しでもいいので毎日続けることです。
仕事で遅くなった時は「過去問を1回分だけ行い、休日に足りない分を補足する」など、生活リズムに合わせた学習計画を立てていきましょう。
まとめ
知的財産管理技能検定3級は特許の入門にピッタリの資格!
私のオススメ勉強法は、オーソドックスですが「過去問を解く」です。
とにかく本番の問題形式に慣れておくことが重要になります。
本検定は、学科と実技のどちらかが受かっていれば、翌々年度までは持ち越しが可能です。学科が受かれば、次回は実技のみの試験になります。未経験でも取得しやすい国家資格、「知的財産管理技能検定3級」。
本検定の取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
関連記事
知財のスペシャリスト!知的財産管理技能検定1級はやっぱり難しい?
知財専門の求人サイト「知財HR」
知財業界はいわゆるニッチ業界。そこで転職時に重要になってくるのが「どれだけリアルな情報を集められるか」です。
知財HRではそんなお悩みにこたえるべく、求人票にインタビューを掲載中!(※求人によります)
一歩踏み込んだ仕事内容、職場の雰囲気、求人募集の背景など…。たくさんのリアルな情報を知ったうえで求人へ応募できるんです。求人検索は下のボタンから↓↓↓
自動車、航空機業界で設計エンジニアとして15年以上勤務。
業務で特許出願に関わったことから「知的財産」に興味を持つ。
じつは前職場で1件特許出願した経験あり。
今はWebライターとしても活動中です。