目安の勉強時間は?弁理士試験攻略のコツ
これから弁理士を目指そうとする方、また、現在弁理士の勉強をしている方にとって、
- 弁理士試験に合格するための総勉強時間は?
- 一日あたり何時間くらい勉強すればいい?
ということは気になるかと思います。
ここでは、合格までの勉強時間の目安について、合格するためのコツとともに紹介します。
なお後半で紹介している勉強のコツは、知識ゼロで特許事務所に転職&働きながら1年弱勉強して、1発合格を達成した筆者の体験談に基づいています。きっと参考になるので、ぜひ読んでみてください。
必要な勉強時間
弁理士試験合格までに必要な勉強時間の目安は、約3,000時間と言われています。
1年365日で到達しようとすると、1日平均約8時間超勉強する必要がありますね。
1日に2時間勉強するとすれば、3,000時間に到達するまでには約4年かかります。1日4時間勉強しても約2年超かかる計算です。
ただし、これはあくまでも一般的な話で、当然個々人によって異なります。時間ももちろん重要なファクターですが、何よりも大切なのはやはり勉強の質、集中度合いです。
試験攻略のコツについては、こちらの段落で現役の弁理士である著者目線して解説しています。
【基本情報】弁理士試験はどんな試験?
弁理士試験の概要について簡単に紹介しておきます。特許庁のHPにて詳細が示されていますので、詳しく知りたい方はそちらも参照することをおすすめします。
出題内容
試験範囲は次のとおり、工業所有権法に関する法令を扱います。
- 特許法、実用新案法
- 意匠法
- 商標法
- 著作権法
- 不正競争防止法
- 工業所有権に関する条約
上記の法令について、短答式試験、論文式試験、口述式試験、にて理解度が問われます。
受験者数と合格率
令和3年度の統計データは次のとおりです(特許庁、工業所有権審議会公表データ)。
- 受験者数:3,248人
- 合格者数:199人
- 合格率:6.1%
合格率が6.1%ということで、非常に難易度が高いことが分かります。
平均受験回数
平均受験回数についても特許庁、工業所有権審議会から統計データが出ています。令和3年度のデータによれば、平均受験回数は3.7回となっています。この中には、後で触れますが短答試験免除者や論文試験免除者も含まれます。
試験形式
試験は、次の3段階で実施されます。
- 短答式筆記試験(マークシート形式、5月中旬~下旬)
- 論文式筆記試験(6月下旬~7月上旬)
- 口述試験(10月中旬~下旬)
短答試験から口述試験まで、約5か月ほども試験期間が続くことになります。長いですね。
弁理士試験攻略のコツ 5選
著者自身、全くの知識ゼロの状態から特許事務所に転職し、働きながらの勉強で、対策期間1年弱、1発合格を達成しました。そんな著者目線で、弁理士試験攻略のコツ5選を紹介します。
1.先人に学ぶ!合格体験記を読もう
弁理士試験関連の情報誌(弁理士受験新報、弁理士PATENT NEWS、など)には、合格体験記が掲載されています。単に体験記とあなどるなかれ、体験記には成功例から失敗例まで、貴重なノウハウが詰め込まれています。まさに宝の宝庫です。
失敗ルートを全て排除すれば、後は成功ルートが自然に残ります。それを自分に合うようにアジャストするのです。せっかく諸先輩方が残してくれた貴重な経験・体験があるのですから、活用しない手はありません。
著者も、弁理士試験を目指したとき、弁理士試験の参考書を開く前に、2~3週間ほどもかけて、合格体験記を読み漁りました。
当初から勉強期間1年、1発合格の短期合格を目指しており、どんな勉強をしたら失敗するか、やらないほうがいい勉強法は?やってはいけない勉強法は?というのを自分なりに合格体験記から学びとるのが目的でした。
2.資格取得は手段であって、目的ではない
弁理士試験への合格自体は目的ではありません。試験合格はあくまで、自身のスキルアップ、キャリアアップなどのための1つの手段、であるはずです。当たり前なのですが、見失いやすいので注意が必要です。これは勉強中、常に意識したことです。
目的と手段を間違えると、ときには、自分がどこに行こうとしているのか、何をしようとしているのか、が分からなくなり、モチベーションにも影響します。
例えば旅行に行く!という目的があったときに、旅行に行くための手段、駅まで行くとか、電車に乗るとか、飛行機に乗るとか、といったようなことは、旅行に行く!という目的の前ではなんでもないことのはずです。
しかし旅行に行くという目的が見失われて、電車に乗る、ということが目的に置き換わってしまうと、駅まで遠いな、雨だしめんどくさいな、混むし嫌だな、などと、より細かいことが気になりだします。
なかなか合格できない人の多くは、弁理士試験に合格することが目的に置き換わってしまっている場合が多いように思います。合格した後のその先を見ましょう。
3.他の受験者がやっていることは全部やる
前提として弁理士試験は、何点以上とればその人は全員合格、という絶対ラインがある試験ではありません。合格ラインというのは、受験者全体の出来に応じて相対的に決まります。
つまり合格ラインというのはありつつ、実は、受験者の上位〇%が合格する、といった相対的な試験なのです。
逆に言えば、自分の出来がいつもより非常に悪かったとしても、他がもっと悪ければ合格できます。ですので合格するためには、自分以外の他の人よりちょっとだけでいい、上に行きましょう。
このように理解すれば、どのように勉強すれば良いかも明確ですね。非常に簡単でシンプルな答えで、他の受験者がやっていることは全てやればよいのです。その上で、プラスアルファのことをちょっとだけやれば、合格はもう手中にあります。
予備校に行けば、受験仲間ができます。受験仲間にはまた受験仲間がいて、そういったつながりを活用すれば、他の予備校の情報なども比較的容易に入手できます。他の予備校で使っている模試や教材なんかもカバーしておくと良いです。自信にもつながります。
今はオンライン講座も多いと思いますが、情報収集という点では、リアルで実施される講座に通うメリットは非常に大きいです。
4.長期勝負は分が悪い、短期勝負
勉強は計画どおりには進みません。予定の8割くらいで進めば上出来ではないでしょうか。その点を見越して、余裕を持った計画を立てることが重要です。
そして、絶対的に短期勝負がおすすめです。
数年も勉強をするとなると、どうしてもモチベーションが続きません。勉強期間が長くなればなるほど、モチベーションの維持が難しくなり、不毛な時間を費やすことになりかねません。
著者の受験時代、周りには「2~3年くらいで合格したい」という人が大半でした。そして確かに、2〜3年で合格できるような勉強計画を組んでいました。しかしこの計画を実現できた人はいません。例えば2~3年で合格したいなら、実際には1年で合格する!くらいのマインドで臨むべきです。
著者は先のとおり、1年1発合格を目標としていたのですが、この目標を達成するために内心では、「よし、半年で合格ラインまで持っていこう!」という気持ちで勉強しました。
余談ですが、勉強開始後半年で力試しに模試を受けましたが、合格レベルなんて夢のまた夢、惨憺たる結果だったことを記憶しています。
ただ「半年で合格ラインに」というのは、あくまで姿勢・マインドの話なので、悲惨な試験結果は気にはせず、また同様の意識で勉強を進めました。
5.環境に投資する
環境というのはとても大事です。自宅では誘惑も多く、人の目も無いし、気にせずさぼれてしまいますよね。
会社に行けば、みんな仕事をしています。自分だけさぼる訳にもいきません。頑張って仕事をすると思います。
勉強も同じです。学校にいけば勉強仲間がいて、みんな勉強しています。周りが勉強している環境だからこそ、自分も勉強できるのです。
著者は受験時代、予備校に通っていました。講座ではもちろん受験仲間に混じって勉強できます。そして講座が終わった後も、自習室にこもり勉強しました。
この自習室は有料だったのですが、周りが勉強している環境に自分の身をおくため、惜しまずお金を払っていました。まさに環境をお金で買う、という意識でした。このおかげで、毎日最終の時間まで、集中して勉強することができました。
まとめ
いかがだったでしょうか。何事も、攻略するにはまず攻略する相手のことを良く知ることです。そして、失敗するパターンをよくよく研究し、失敗パターンを1つづつ排除していくのです。
試験攻略の正しい方法を理解することができれば、あとはやるだけです。何ら難しいことはありません。非常に簡単でシンプルです。
参考になれば幸いです。
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エンジニア出身です。某一部上場企業にて半導体製造装置の設計開発業務に数年携わり、その後、特許業界に転職しました。
知財の実務経験は15年以上です。特許、実用新案、意匠、商標、に加えて、不正競争防止法、著作権法、など幅広く携わっています。
諸外国の実務、外国法にも長けています。